劇場公開日 2019年11月29日

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「【FBIの情報屋と妻子、FBI捜査官とその上司、NY市警刑事、ポーランド系冷酷マフィア団の二重三重の人間関係の絡み合いを無法地帯の刑務所をメイン舞台に描く、緊迫感溢れるシーンの数々に圧倒される】」THE INFORMER 三秒間の死角 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【FBIの情報屋と妻子、FBI捜査官とその上司、NY市警刑事、ポーランド系冷酷マフィア団の二重三重の人間関係の絡み合いを無法地帯の刑務所をメイン舞台に描く、緊迫感溢れるシーンの数々に圧倒される】

2019年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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 “刑期を大幅に短縮する”約束で、FBIの情報屋ピート・コズロー(ジョエル・キナマン)が、FBI捜査官ウィルコックス(ロザムンド・パイク:今年は彼女の作品、当たり年である)の指示の元ポーランド系マフィア壊滅の罠を掛けるが、逆に囮の警官を射殺され逆境に陥ってしまう。

 愛する妻(ソフィア:アナ・デ・アルマス:相変わらずの美しさ)と娘(アンナ)の身がマフィアのボス”将軍”からの報復で危険に曝される中、”将軍”が提示してきた条件は再び刑務所に戻り、内部の麻薬取引を仕切る事。

 だが、FBIもそれを察知し、逆に”将軍”を壊滅させようとするが・・殺された囮の警官の上司グレン(コモン)が事情を察し、FBIに揺さぶりをかけ始め・・。

 愛する妻と娘との穏やかな暮らしを求め、(コズローが最初に刑務所に入ったのは、妻を守るためだった)FBIの情報屋になったコズローが、苦悩しながらも様々な謀略を才智と腕で掻い潜る様が迫力満点である。

 刑務所の囚人たちの異様なタトゥーの数々も凄く(タイの刑務所内でムエタイで命を守ったイギリス人ボクサーの姿を描いた「暁に祈れ」を思い出した)、刑務所内の装飾もリアリティがあり(と、思ったら実際に使われていた刑務所でロケをしたそうである)、それが後半、コズローが必死に脱出する姿を印象深くしている。

 又、FBI捜査官ウィルコックスが保身に走る上司モンゴメリー(クライヴ・オーエン:この俳優さん、こういう役演じると実に憎々しくて良い)とコズローの狭間で悩むシーンとコズローが密かに録音していた自分との遣り取りの中で”私が貴方と貴方の家族を守る”という自らの声を聴いた際のウィルコックスの何かを決意する表情・・ロザムンド・パイク流石である。

”NY市警グレン、頑張れ!”と何度、心の中で叫んだ事か。(マフィアとの肉弾戦とかFBIと遣り取りするあたり)

 コズローが妻と娘を何度何度も振り返りながら、彼女らの命をウィルコックスに託す切ない表情が印象的なラストの締め方も良い。

<悪人でも妻や娘を愛する気持ちは善人と同じ。本当の悪人は愛していた筈の人に手を上げる、場合によっては傷つけるような輩であるよなあと、ラストシーンのコズローの表情を観ながら思った作品>

NOBU