「教育的良作」小さい魔女とワルプルギスの夜 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
教育的良作
ドイツの小学校の先生だったオトフリート・プロイスラーさんが民話や伝承を基に子供たちに語っていた物語を後に出版、本作もその一つで人気の児童文学です。いじめっ子は家庭に問題があるという視点も先生らしいですね。
なんとなくチコちゃんに出てくるキヨエを連想してしまいましたが小さい魔女にもカラスの友達がいて悩みの相談相手役を担っています、森に隠れ住む魔女と言え孤立化していない設定も巧みですね。
ポイントは良い魔女というのが大きな魔女たちと小さな魔女の解釈では真逆だったこと、子供たちに考えさせる意味で重要なテーマです、「魔女の宅急便」や「ハリー・ポッター」など映画やアニメで大活躍の魔法使いですが、中世~近世の時代には人に害を及ぼす悪とされ魔女狩りが横行、疫病や悪天候などいわれのない嫌疑をかけられ犠牲になった人もたくさんいたのですから信仰や正義の危うさへの観点も重要ですね。
過去には人形劇やアニメ化もされたようですがCGを使った動物たちのリアルだがファンタスティックな表現を活かして見事に実写化、子供たちに観て考えて欲しい良作でした。
(脱線)
魔女のお祭りに憧れる主人公ですがまるでキャンプファイアー程度にしか見えず、なぜそんなに執着するのか不思議でしたがドイツの方なら納得らしい。
ワルプルギスの夜にブロッケン山で年に一度、魔女の祭りが行われると言う伝承、ゲーテのファウストにも登場しますが、山の霧による光の錯乱現象で遠くに写る自分の影が大きく見えるのだとか、その現象が化け物と勘違いされ、魔女たちが祭りを開くワルプルギスの夜という迷信も生まれたそうです。地元では毎年4月30日に壮大なお祭りが開かれハロウィンさながらのコスプレ行進や魔女にちなんだイベントが観光客に大人気だそうです。