「1sec ÷ 60 wings ≒ The Hummingbird Project?」ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
1sec ÷ 60 wings ≒ The Hummingbird Project?
映画を見る前に思ったことは、人よりも頭のいい人間が、小ずるい事を考えた計画を実行する映画と思っていた。しかし、この計画をよく考えたら、カンザス州からニューヨーク証券取引所までは、優に1600キロの距離を山越え・谷越え・川を超え、光ファイバーを通すパイプ敷設工事をするっていう事は、日本で言えば下関から青森まで、すなわち本州縦断?え~ッ! そして個人的に”小ずるい”という考えを改めなければならない彼らの輝いた台詞が.....。 すみませんでした。そしたら書くなってか?
You know, I have to say you guys might be crazy,
but I am very excited. It's a really interesting project.
-Yeah, just think of it
-as David walking onto the floor the stock exchange,
-taking out the biggest slingshot ever,
-and bringing Goliath down to his fucking knees.
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We're David?
光ファイバーを通すパイプ敷設工事。そんな距離的や地形における自然に対する物理的や時間的難しさだけでなく、むしろこちらのほうが大変と思われる、物欲や金銭欲や支配欲の塊の人間の壁や表現しがたい神の壁、また長いものには巻かれろ式な労働者の壁、人を陥れ、しかも人を脅すことで快感を持つのではないかと思える悪魔的人間の壁、その何重にもそびえ立つ壁にビンセントとアントンは、事業を始めてからその存在の大変さを悟ることとなる。そして自分自身の弱さの壁も.......!
このような事で挑戦者の最後の結末は、見る前から半分は予想できるが、その難しいイベントをどのように主人公たちが乗り越え、克服するのかを見ることのほうが、計画の成功不成功よりも映画の質を問われるていると個人的には思っている。
X-MANに登場するストームのような髪型で、悪魔的しつこさのある前職の超高頻度業者のボス、エバァの台詞
Someone can make your life hell if they decide to,
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I cared for you, and you betrayed me.
Now you have to pay,
and I'm gonna make it painful.
人間には、必ず”不公平”が存在する。ロシアからの移民のビンセントの両親。株式を知る者知らない者。高速で大容量の処理機を有する者有さない者。それをビンセントの言葉が象徴をしているかもしれない。
My parents moved here in the '60s,
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He always told me the same thing.
He said: "Whatever you do, make sure you own your freedom."
-Own your freedom?
-Doesn't that kind of defeat the purpose of freedom?
最初、計画を進めるために意気揚々としていたビンセント。その彼が過酷とも言えるシナリオが進んでいくうちに彼の早口で話す姿が、ただの神経質な者が話し、空回りしかしていないものになり、彼自身が並走するように段々とやつれていく。その反面、最初、システムの構築に関しては天才であるけれども飛行機のシーンでは何かにこだわりの強い、神経質な人間のステレオタイプに見え、少し精神的に問題がありそうな従兄弟のアントン。しかし、金なんか最初から問題としてはいない彼は、この計画の達成感と、ただ単にビンセントの為に参加した人柄がとてもいい感じの人。そんなこんなで、この映画、端からフィクションと考えれば、とても見やすくなる代表的映画。
ウエイトレスが映画を見ている側の、株式なんか知らない、どうでもよいと考えている自分を含め、それを象徴するような典型的な蒙昧で無知な人間の代表として登場する。しかし?
In about 17milliseconds. Soon it'll be 16.
-But what's 16 milliseconds?
It's one single flap of a hummingbird's wing.
-OK, but then what happens?
Well, that's it. That's the whole thing.
ドイツ語を話していたのでアーミッシュと思われる人の台詞。
We live simple lives, Mr. Zaleski,
"at the service of God."
High speed is not our priority, and money can be a source of conflict.
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We don't believe that making things faster
making things better.
現代の神は、法律には勝てないのか?
英国の英語の保守系高級紙タイムズの日曜版であるTimes (UK)の電子版(有料)
The Hummingbird Project review — they’re buying a superhighway
to heaven より
「 カナダの映画製作者で、この映画の脚本と監督を務めたキム・グエン(ベトナム出身)が手掛けた作品の中で代表的な映画であり、一貫してより多くのものを探っていた過程で、この映画が、すべての中で適切な分野に響くものに当たっている。」
シカゴのニューススタンドで発行部数の多い新聞紙、Chicago Sun-Timesの
電子版(今回は無料)
Financial thriller ‘The Hummingbird Project’ delivers hokum
at high frequency より
「アイゼンバーグが作家兼監督のキム・グエンが描く、洗練された野心的で一貫性のない不均一な金融テクノロジーのスリラー”ザハミングバードプロジェクト”での、アイゼンバーグが、やりすぎない範囲に戻ると、力強い仕事をすることは驚くことではないが、それだけでは十分に役者としての勝ちを収めるものではない。」
この映画の製作者が意図しているのか? それとも、映画.comのいつもの映画配給会社の受け売りをそのまま載せているせいか? この映画のことを実話をもとにしたと言わしめるものは何か? 訳が分からなくなる。個人的に言わせてもらうなら、正当で公平な証券取引業者に対して、毛沢東が生んだ言葉とされる”反面教師”の誇張版であり、個人的には、フェイク映画の何物でもない。言い過ぎですか........?
古代ギリシャの哲学者ディオゲネス。自分でも誤認があり、樽の中で一生?住み”樽のディオゲネス”または、”犬のディオゲネス”と呼ばれた古代ギリシャの哲学者で文明を全否定した哲学者として捉えていたがそうでもない。彼のことを考えると、この映画は、携帯をできるなら24時間肌身離さず、ハイテク=絶対神と無意識に考える人たちへのメタファーとして人の価値観の違いでどちらが正しくて、どちらが間違っていると決めつけることができないというテーマがあるのではないかと個人的には思っている。最後のビンセントの姿で.......。
余談として、アントン役のアレクサンダー・スカルスガルドには、先日観た映画「IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(2019)」で体の一部を変形できる特技を持っている14才年下のビル・スカルスガルドがいる。