「太極図をモチーフとし、陰と陽の二人の男の生き方を琴の音を背景に美しく、切なく描き出す水墨画のような映画」SHADOW 影武者 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
太極図をモチーフとし、陰と陽の二人の男の生き方を琴の音を背景に美しく、切なく描き出す水墨画のような映画
雨が蕭々と降っている。
モノトーンに近い色合いが画のベース。
場面に合わせて、琴の音が時に切なく、時にロマンチックに、時に激しく奏でられる。
このシークエンスで、一気に劇中に引き込まれる。
陽の男が抱える葛藤、陰の男が抱く想いが絡み合い、陰陽の二人のバランスが均衡を失っていく。その姿を複雑な想いで見つめる陽の男の美しき妻。
傘からヒントを得た武具を扱う陰の男と豪壮の槍の使い手との舞のような闘い。
又、和平のために敵国に嫁がせられる、哀しき姫の運命に抗う姿が勇ましくも悲しい。
陰と陽の男を演じ分けたダン・チャオと、陽の男の妻であり、陰の男に徐々に心惹かれていく女を演じるスン・リーの哀しみを湛えた美しさに魅了された。
美術のスケールも破格で、それをベースにした小国の奇抜な戦法(見ごたえあり)にも驚かされた中国歴史物語の佳品である。
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