「【タイトル×ジャケットからは想像つかなかった面白さ】」15ミニッツ・ウォー 3104arataさんの映画レビュー(感想・評価)
【タイトル×ジャケットからは想像つかなかった面白さ】
・2018年公開のフランス・ベルギーのアクション映画。
・実話に基づく物語。1976年、まだフランスの植民地だったジブチで行ったバスジャック事件。それを鎮圧するための作戦「奇跡の人質救出」と称された作戦の一部始終のお話。
・ジブチで子供たちを乗せたスクールバスが、ジブチの独立派武装組織のメンバーにジャックされてしまう。要求は投獄されている仲間の解放とフランスからの独立で、応じない場合は子供たちの喉を切り裂くと通告。これに対してフランス政府は、極秘裏に特殊制圧チームとして主人公ジャルバルをはじめとしたトップクラスのスナイパー5名を編成して現地へ送り込む。ジャルバルたちは複数のバスジャック犯達を同時に狙撃してしとめるように準備するも、フランス政府のOKがなかなかでない。内心、暗殺をするつもりがない政府と、目の前で危険にさらされる子供たちを何もできずに見守るジャルバルたち。そんな状況でいてもたってもいられなくなり自ら人質の一人のなる(子供たちの)学校の教師ジェーン。果たして、どのように事件は執着するのか… という大枠ストーリー。
[お薦めのポイント]
・多数キャラクターなのに個性がはっきり伝わる、わかりやすい演技・演出
・台詞は少ないのに伝わるキャラクターの心情に共感度アップ
・しっかり戦闘シーンあり(スナイパーものなのにハラハラアクションがすごい)
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■多数キャラクターなのに個性がはっきり伝わる、わかりやすい演技・演出
・主人公たちスナイパーチーム5名、現場を仕切る将軍、バスジャック犯リーダー、学校教師、フランス政府…キャラクターが多数おり、しかも私が見慣れていない演者さんばかり。アメリカ以外の国の戦争映画を観る際に、よくこのような状況になり、誰が誰だか…状態に陥ってしまうのですが。なんとこの映画、それがほぼないんです!キャラ名までは覚えられなくとも、顔や服装で切り分けができるので、誰がなぜその行動をしているのかがよくわかる。これって当たり前のことなのかもしれませんが、鑑賞側(私)が知らない演者さんだらけだと、これが中々ムズカシイ。にもかかわらず、この課題をさらっとクリアしてくれる演技や演出、そのおかげで物語の理解がとてもスムースにできました。
■台詞は少ないのに伝わるキャラクターの心情に共感度アップ
・キャラクターの切り分けが簡単なのに、彼らの台詞は少な目だった気がします。つまり、台詞で状況を説明するのではなく、行動や振る舞いで彼らの特徴がビビビっと伝わるように表現されているのです。例えば、バスジャック犯の主格の簡単な過去話や表情(アップショット)。例えば、スナイパーチームの台詞のいらない最後の決断。例えば、女性教師が単独でバスに向かう姿やただ煙草を吸う(ギャップ)。例えば、主人公が葛藤する様を常に表情だけで魅せる演出。などなど。小さな事かもしれませんが、これらが積み重なることで、キャラクター一人一人に共感できるようになりました。多角的な視点で共感できたうえで、物語がどう動くか。スナイパーものって、狙い撃ちまでの間はアクションも乏しく、なかなか見応えを覚えづらいと思いきや、その共感度が緊迫感を強めてくれたので、物語に没頭することができた気がします。
■しっかり戦闘シーンあり(スナイパーものなのにハラハラアクションがすごい)
・まず、どこかまでは言いませんが「スナイパー映画として圧巻!」と、痺れるシーンがありました。カッコいい!そして、単に狙撃戦だけではないアクションもあるところがポイント。きちんと起承転結の「転」で絶頂のハラハラを与えてくれるように構成されていました。
■監督のフレッド・グリヴォアさん、もしかしてガイリッチー監督が好きですか⁉
・スナイパーたちが準備するときの映像が、まるでガイリッチー監督の「スナッチ」や「ロックストック」のようなテンポよい感じで演出(編集)されていました。彼らの行動内容や裏で流れるBGMのテンポとは、ややあっておらず違和感を感じました。笑 個人的には好きな演出なのですが、この映画やそのシーンへの必然性を考えると「うーん」となるような演出を目の当たりにして、「あれ、もしかしてフレッドさんはガイリッチーさん系の演出が好きな人?」と思わず勘ぐってしまいました。笑
■総じて、タイトルとジャケットではそそられなかったのに、実際に鑑賞したら観てよかった映画!
・どうしても「15ミニッツ」という映画とタイトルが似ており、B級作品感を感じていたこと。ジャケットが全くそそられなかった…のですが、実際に鑑賞してみると、個人的にはA級作品!と思いました。
・「実話を基に作られている」というリアリティもまた素敵。一見、フィクション映画に見えるのですが、映画の頭とお尻に挿入される史実テロップが、現実世界とリンクさせてくれて、歴史を調べたくなります。 ・また、ジブチはフランス最後の植民地、ということでその場所が映画冒頭に地図上で示されるのですが、それがまたフランスからは遠い場所で、その前提条件を頭の中にインプットしてくれているので、一層臨場感を増してくれます。
・哲学的な何か、を得られるわけではありませんが、単純にアクションモノとして、人間の葛藤を描くヒューマンドラマモノとして観ていて愉しめる作品かと思います。特に、ナイスミドルなスナイパーたちがとてもカッコよくて素敵でした。ありがとうございました。
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