「自分の感性では、只の殺人映画だった」ハウス・ジャック・ビルト 白石黒井さんの映画レビュー(感想・評価)
自分の感性では、只の殺人映画だった
〈悪かった所〉
・自分語りが多い、話を只の殺人から長々と美化し過ぎ
・ジャックの異常な心理や考え方を伝えたいのは分かるけどそれがクドすぎる
・最後の地獄巡りのセットや脚本がいきなりチープ過ぎて笑えてくる
〈良かった所〉
・ジャックの2番目の殺人、警察の振りをしておばさんの家に侵入する場面が、際立って気持ち悪くて驚いた。おばさんの不審な目や、ジャックの化けの皮が外れた狂気性が作品を通して、此方まで感じれる程鮮明で思わず顔を顰めてしまう場面だった。こういった映画で嫌悪感があるのは普通血肉が飛び散る所なのだが、ジャックによるおばさんの殺し方は、単純な首絞め。それなのに本当にあったシリアルキラーの殺害現場を見ている様な、気持ち悪いほどのリアルさと、当たり前の日常がいきなりの暴力で縊り殺される不気味さが感じられ、凄かった(語彙)
・逆にこの2番目の殺人がリアル過ぎて、他の殺害が見劣りしてしまった程だった
・最後に登場した悪魔がしっかりスーツでお洒落にきめていて、グッときた。『コンスタンティン』のサタンでもそうだったけど、悪魔がスーツでビシッときめているのは格好いいなと思う
〈総評〉
語りが多過ぎて、最後が尻すぼみしてしまうのはどうしても否めないし、中盤まで続いていた「脚本で誇張され過ぎていないリアルな殺人鬼が、一般人を襲っている様な忌避感あるグロテスクさ」←この雰囲気が続いていたら良かったけど、終盤の脚本は、普通の思考の人が考えた演劇芝居に感じられた。
血肉がバンバン飛び出るゴアではなく、日常の中で起こる殺人のリアルな雰囲気を感じ取りたい人におすしめ🍣