「過激作品にアート的ソースの味付け」ハウス・ジャック・ビルト マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
過激作品にアート的ソースの味付け
結構な奇作・問題作と聞いて、興味本意で鑑賞しましたw
で、感想はと言うと…う~ん難しいと言うか、理解がしずらい。
駄目と言うよりかはなかなかな理解の範疇外をギリギリに攻めてくるんですよね。
12年間の間に様々な殺人を犯したジャックの殺人に至るまでの理由や過程を描いているんですが、正直な話、勝手なキ◯ガイの理屈なんですよね。
それをさも芸術的に描いている様に感じられても、無差別殺人に関しての加害者の理屈は理解出来ない。
シリアルキラーと言う言葉が少しカッコよく聞こえるなら、昨今の倫理観上等のアニメ・漫画作品の悪影響にも思えますが、現実にこの様な事が起こって、理解出来る人の方が圧倒的に少ないし、それを声に出してしまうのも躊躇ってしまうのが普通かと思います。
じゃあ、過激ダメダメ映画かと言われると、実はそうではなくて、いろんなシーンにコメディチックな描写もあって、その辺りが余計にタチが悪いw
いろんな拘りが随所に描かれていて、かと言って決して善人であろうとはしていない。
そうは言っても確実にモラルは飛び越えてきていて、いろんな過激描写がわんさかですが、子供と動物はアカンでしょ。そこを描いてしまうとどんなに理屈を言っても、焼け石に水と感じてしまうと自分は感じます。
妙に上映時間が長いのとw、その分ウンチクも長いのもバツw
他の人が書かれてた様に欧米の宗教観をきちんと理解出来てたら、もっとこの作品の良さが分かるのか?とも思いますが…ちょっと変態・エログロ・バイオレンス・クレイジー作品にアートファンタジー的な甘いソースをぶっかけて見栄え良く見せてる様にも感じられてなんか嫌ですねw
オッ◯イの小銭入れなんかは「悪魔のいけにえ」的なアートに感じても…やっぱり嫌だなぁw
まぁそれでもエピローグの地獄への行き道なんかは急にショボくなった感じでも、そこがなんとなく愛嬌が有るような無いようなw
死体の家から通じる地獄への穴も“案外こんなもんなのかも”と思わせる感じです。
「羊たちの沈黙」のレクター博士程の悪魔的カリスマも感じないし、かと言って「ナチュラル・ボーン・キラーズ」程の背徳の美学も感じられない。
もの凄く頭を捻って、約半世紀前のパゾリーニ監督の「ソドムの市」の様な理解しずらい物に何かを見出だそうとする様な苦しみ…
そこまで思うなら嫌いの一言で良いのかも知れませんがw、逆にここまでブッ飛んだ作品も最近は珍しいかなと。
ウイットに富んだ台詞回しなんかもあるし、楽しめる様な要素も無くは無いんですが、やたらと長いし、過激描写とウンチクのメリハリが多くて観る人は確実に選びます。
怖いもの観たさと賛否が渦巻く作品に身を投じてみれる様な稀有な作品です。
お薦めはしませんがw