僕たちのラストステージのレビュー・感想・評価
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切っても切れない関係
喧嘩するし気が合わないとまわりに言いながら愚痴りながら、でもずっと長い間コンビを組んできた二人の関係。スタンはオリバーに笑ってもらうために、ずっとネタや映画の脚本を考えてきたんだろうなとわかると、二人のお互いを想う温かい気持ちにじーんときた。奥さん同士の関係の変化も温かい。
☆☆☆☆ 〝ショー・マスト・ゴー・オン〟 イギリス公演中の2人が、...
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〝ショー・マスト・ゴー・オン〟
イギリス公演中の2人が、共に妻をイギリスへと呼んだ夜。スタンの妻イーダ(チョイ役ながら、巨匠プレストン・スタージェスの作品に出たのが自慢)と、オーリー(妻と2人のベッドにて)からこの言葉が出る。
オーリーは貴金属店でも店員から。
「現役だったのですね」と言われた際に…。
「死後硬直はまだしていない」…と口にする。
時代は1953年。既に人気絶頂の頃はとっくに去り。大衆の娯楽は、映画館よりもテレビへと人気は取って替わられている。
あれだけ人気が在ったローレル&ハーディーも、今では(言葉の応酬激しく、漫才に近い)アボット&コステロに完全に人気を奪われていた。
そんな折に2人は。人生一発逆転を狙って、コメディー版ロビンフッドの映画を企画する。
これはもう、四の五の言わずに観て頂くのが最良かと思える作品でした。
ただひたすらスタンとオーリー。この2人の友情に胸を熱くさせられる映画だ!…と、一言だけ言っておきます。
映画史的に、ローレル&ハーディーは。映画のサイレントの時代からトーキーへと移行した、激動の時代を(数多くのサイレントスターが、トーキーへの移行について行けず引退する)生き抜いた、数少ないスターの1つ。
映画の中には。彼ら2人が主演した映画の中で使われて来たギャグが、密かに使われている様で。そんな事は知らなくとも楽しめますが、知っていての鑑賞ならば、更に楽しめるでしょう。
ハリウッド映画が侮れないのは、この様な小品が突如として出現して来るところ。
作品そのものは、単なるプログラムピクチャーに近いのかなあ〜と思えるのですが。世界規模をマーケットにした大作映画にも負けない程の《熱い》作品だと思います。
ところで。ファーストシーンのワンカットの長回し。
アレって、ひょっとしてアルトマン?
2019年5月2日 新宿ピカデリー/スクリーン10
コンビの絆って強いね。
ローレルとハーディ
かっては、満員満席で映画も大ヒット
しかし
時はながれて
いよいよ
ラストが近づいている。
身体も同様だ!
しかしラストまで
舞台に立つという
使命が
命を懸けてまで
やるんだなあ!
駄目だ、これは泣ける
愛と友情と思いやりのパートナーシップにやられた。
ボードビル全盛期に活躍したお笑いコンビの友情と絆が、’30年代と’50年代を舞台に描かれる。
前半は淡々とした語り口で、二人のコントも今の時代ではそれほど笑えぬインパクト。
それでも、8時だよ全員集合の下敷きかと思われるような笑いの形が感じられる。
時代の流れとともに、ショーから映画、そしてテレビに大衆の娯楽は移り変わり、映画の出演さえ難しくなったコンビは、大西洋を渡った英国でのツアーで復活を目指す。
初めはまばらだった観客。しかし、ツアーが進むにつれ英国各地で往年のファンに迎えられる。
やがてお互いの長年のわだかまりが浮き彫りになるが、一人の病気の発症を機に二人の絆が取り戻され、生涯無二の相棒となる。
それぞれの妻との愛情、妻同士の友情、そして二人の友情を越えた愛情。
ドラマの後半は、4人が織りなす思いやりに満ちたパートナーシップを丁寧に描き出し、引き際の美学とともに観るもののハートを静かに徐々に大きく揺さぶっていく。気がつくと、お笑いの場面にもかかわらず、まさかの目から汗が止まらない。
人生の折り返し点を過ぎている自分にとっては、空いた客席と持参のハンカチが有り難かった、平日朝一の鑑賞だった。
凸凹
コメディアンという総称の原型を見たような感じだ。
1人の天才と、その相方。
昔のコントだったり、アメリカンなテイストだったりはするんだけど、不思議とクスッて笑ってしまう。
ドリフターズを知ってる世代なら、彼らの源流はここにあったのかと懐かしめるだろう。
物語は、かつて頂点を極めたコメディアンの晩年を描く。
「引退」の描き方が腑に落ちた。王道な展開ではあったが優秀な脇役達のおかげで観やすかった。
特にラストステージを観る高慢ちきな妻が、相方の妻の手をギュッと握るカットは至極だった。
その手からパーンアップされた妻の表情には不安など微塵も現れない。
口角を上げ笑ってるようにも見える。
まさに命がけのステージの裏側を客席の自分たちの反応からでも読み取らせてはいけない、と言ってるようで胸が熱くなる。
最後のテロップに泣かされる。
1人はこの巡業を機に引退し、もう1人はその相方との台本を生涯書き続けた。
夢も熱もあったのだろう。
コメディアンの表と裏を存分に堪能できた作品だった。
日本で言えば、カンニングの竹山さんなんかが観たら号泣するのかと思う。
ただ彼もプロなので、公の場では相方の悪口の1つも言って「笑い」を産むのだろうと思う。
あの業界に踏み込んだ人達には珠玉とも言える作品なのかもしれない。
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