「禁句(痩せれ)。」僕たちのラストステージ bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
禁句(痩せれ)。
地味。恐ろしく地味。何処がクライマックスなのか、測量しなけりゃ分からないくらい平坦な物語。こんなんでポロリんと涙こぼしてる俺もどうかと思うよ、全く。良かった、地味に。
画にはこだわる方なので撮影者のクレジットは必ずチェックしています。ローリー・ローズはぶっ飛びのオーバー・ロード、ヘルフロント、ペットセメタリーなどを撮った人。奥行きの作り方が好きやわぁ。それと風景。最初の宿のヘルっぷり。ロンドンの劇場外のワンショット。画面右隅にチラリと見える、暮れ泥んで行く空の美しさ。ストリートの切れ目から見えるビッグベンのカスミ方。この「隅っこ品質の高さ」が英国魂で好き。インド映画は、この精神を真似たんですかね。この点については、最近の日本映画が一番ダメだと思う。
コントな私生活に色を添える、奥様方の掛け合いも良かったが、二人共にダンナ愛に溢れる良いオンナで真剣に羨ましい。
実在のコンビの歴史を辿ったバディムービーは、何故か三ヶ国合作で98分の短尺もの。気負わずサラサラ流れて行く気の利いたセリフにニヤニヤしたり、ホロリとしたり。愛なんてものは、愛だと言わなければ、何者でも無い感情として流れ去って行く。合計、何年を共にしたかは不明だけど、ハーディーが倒れなければ、二人は互いへの愛情を語る事もなかったであろうよ。でも、俺たち、口に出したりしないよなぁ、普通。と言うか、友達に愛してるだなんて絶対に言わない。どんなに好きでも。一生、そんな事を口に出さずに済みます様に…と祈らずにはおられませんです。真面目に恥ずかし過ぎる。
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