劇場公開日 2019年4月19日

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「この現実を見よ」ある少年の告白 andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0この現実を見よ

2019年5月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「同性愛の矯正施設が今も存在する」事にまず驚きを禁じ得ない。性的指向が病の類ではない、「治療」するものではないことは現代の常識だと思っていた。しかし、この映画で描かれる現実は、目を疑いたくなるものだ。矯正施設では行われることは何から何まで的外れ、というか害だ。受ける側はひたすらに傷つくだけ。恐れによる人格の変容。もしくは逃げ出す為に割り切って演じる者。演じる事もできず鞭打たれる者...あり得ない、と思うが、その現実がそこにはある。
ルーカス・ヘッジズは非常に生真面目な青年を生真面目に演じている。それ故に施設の異様さが際立つ。
そして両親。どうやっても変えることのできない息子の指向にどう向き合うか。父親にも父親の信仰があり、信念がある。その葛藤を含んだラストは心にくるものがあった。父親に従属的な母から、息子の様子を見て意思を固めるニコール・キッドマンは相変わらず強い。そして強そうだけど、揺れる父親ラッセル・クロウの存在感よ...
そして最後の字幕で驚いた。負の連鎖とそこからの脱却ということを思った。

andhyphen