「豪華な俳優陣」ある少年の告白 vary1484さんの映画レビュー(感想・評価)
豪華な俳優陣
2018年という時代に繊細なテーマを大胆に描いた作品。
キリスト教という宗教と、LGBTQという難しいテーマに正面から向かっていった作品。主観で見るにはあまりにも知識と経験がないのですが、宗教やLGBTQに深く入らずとも青年期で自分を探し、初めて死というものを身近に感じる時期というものを描いた作品として観ることができました。
まずこのメンツ。興奮せずには観られませんよね。ジョエル・エドガートン、ルーカス・ヘッジス、二コール・キッドマン、ラッセル・クロウ、グザヴィエ・ドラン。演技派を豪華に集めた本気度が伝わってきます。
今作では、やはりテーマというものに驚かされました。数百本も映画を観れば、観たことのないテーマを扱った作品に出会うことはあまりないと思います。個人的に本作のテーマは初見でした。同性愛を罪として扱う宗教的価値観と、その矛盾さを正面から扱った本作には、製作側の誠実さ、本気感が伝わってきました。どちらも否定するにはあまりにも大きすぎる概念。しかし、本作は事実に基づき、果敢にスポットライトを当てています。
例えば、ラッセル・クロウ演じる主人公の父親マーシャル。彼は牧師であり、キリスト教のバプテスト教会の説教師です。その息子ジャレッド(ルーカス・ヘッジス)が同性愛かもしれないという疑念を抱いたマーシャルは、息子を同性愛を更生させる転換プログラムに入れることを決めます。その転換プログラムでは、外界との関係を断ち、同性愛を罪と捉える教えをもとに、その罪を償うという形で更生していくことを強制する。
我々日本人にはとても疎いテーマで、半ば信じられないようなことですが、世界では少なからず現実に信じられていることです。しかし、あまり否定的には扱われなかっただけに、私にはかなり衝撃的に感じました。どちらが正しくて、度地rが間違っているかなんていうのは、愚問ですが、序盤で医者の女性がいう「あなたはどこも悪くない。だから自分に正直にこれから生きなさい。」という言葉には私は100%賛成できました。
親も時には間違うし、先生や偉人も間違える。答えや正解というものは自分が信じるかどうかなのだろう。
役者たちに見入りすぎて、映画の要素に注目する余裕はなかった。