マーウェンのレビュー・感想・評価
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「フォレト・ガンプ」がウェス・アンダーソン的箱庭世界に迷い込んだ
知恵は他人より劣るが、並外れた特別な才能を発揮する。曇りのない純粋さで、周囲の人から愛される。ロバート・ゼメキス監督はマーク・ホーガンキャンプのドキュメンタリーを観て、アクションフィギュアとバービー人形を使い撮影した写真に込められた物語を映像化しようと思い立ったそうだが、「フォレト・ガンプ」のタイトルロールに通じるマークのキャラクターにも魅かれたのではないか。
マークが第二次大戦下の町のジオラマを作り、そこでフィギュアにポーズを取らせて撮影する。マークの空想が映像化された世界と、創造主たるマークの現実を行き来する構成は、ウェス・アンダーソン監督のトレードマークの箱庭世界を彷彿とさせる。
マーウェンの美女軍団のキャストたちはほぼ全員、CGキャラだけでなく実写でも登場するが、魔女デジャ役のダイアン・クルーガーは実写出演なし。これを贅沢すぎる起用とみるか、スターの無駄遣いとみるか…。
自分を取り戻す過程に正解なんてない。
ロバート・ゼメキスがとんでもないビジュアルをドラマの中に暴力的に放り込んでくることは過去作で承知していたつもりだったが、まだまだこっちの認識が甘かった。本作は実話ベースなのに、トラウマを抱えた主人公の妄想がメインで、第二次世界大戦のジオラマを背景に米兵のフィギュアとハイヒールを履いた美女人形がナチスと戦うシーンがかなりの分量を占めているのだ。
この妄想シーンは深いトラウマを抱えた主人公にとってのセラピーの役割を果たしていく。イビツでヘンテコなアウトサイダーアートといった趣きであり、正直、付いていけない気分になる瞬間もあった。しかし、心の中で大切なものなんて人それそれ、千差万別。本作はその中でも特異な例を敢えてビジュアル重視で描くことで、趣味嗜好は他人にジャッジされるものではないという決意表明をしているようにも見える。
しかも思わぬ形で「デロリ〇ン」まで放り込んでくるのだから、ゼメキス、ホントやりたい放題でアッパレ!
独特の世界で面白かったです
PTSDに立ち向かう人の感動作かと思ったらそうではなく、感動はラストに少しだけ
でも実際この主人公の人の勇気は素晴らしいと思います
逃げ出したくなる事に立ち向かう強さ、どれほどの勇気が必要だったのか
周りに支えてくれる人がいるから人は強くなれるのだと思います
映画としてはそこを盛り上げるような感じではなくストーリーの締めくくりとして、そういう作りもありかもでした
人形のシーンもなかなか楽しめました
諦めずに最後まで見て正解
CGの世界と現実の世界を行ったり来たりするので最初は理解しにくかった。
話が進むにつれてだんだん面白くなっていく。
無謀な暴力を受け性格まで変わってしまったのか鈍感でたまに敏感になる独特の主人公、恋は実らなかったけれど新しい恋の予感も。
その恋の行方が気になった。
どちらかというと最初からロバータのファンだったので個人的にはうれしい展開だったけれど・・・
お向かいに引っ越してきたニコルの車が先代のプリウスというのもうれしかったなあ。ニコル、いい人だったけれどなんか訳ありでしたね。
見終わってから思ったけれどキスシーンのないアメリカ映画って
久しぶりに見た。ちょっと、新鮮でした。ただ、フィギュアはキスしてたけれども。
【”ある怖ろしき出来事のため、記憶を失った男が”フィギュアの世界”に”逃避”する中で、ある女性に恋をし、”フィギュアの世界”で”彼女を守るために闘い”徐々に再生していく物語。】
ー 可なり、独特な世界観を持った映画である。劇中描かれるシーンの殆どは、ヘイトクライム(憎悪犯罪)に会い、記憶を失ったマーク(スティーブ・カレル)が作り出したG.I.ジョーのホーギー大尉(マークの分身)と5人のバービー人形(マークを支援する周囲の人々)やナチスのSS(マークを襲った犯人たち)魔女デジャ(ダイアン・クルーガー:怖い・・)を中心とした”劇中劇”である。
マークは自ら造り上げた”劇中劇”の各シーンを自ら写真に収めることで、徐々に”救済”されていくのである。 ー
・マークが記憶を失ったヘイトクライムのシーンは、後半断片的に描かれるのみである。
・だが、観ている側は、徐々にマークがフィギュアの世界に”没入””逃避”している姿や、周囲の人間が”大変だったのね・・”と言いながら、マークに優しく接する姿を見て、マークに何が起こったのかを前半は類推する。
・裁判所からの呼び出しにも、犯人たちと近付くことを本能的に察していたのか、応えないマーク。
・だが、道を挟んだ家にニコルが越してきたことで、マークのフィギアの世界“マーウェン”に変化が訪れる。
ー ”デロリアン”も登場するしね・・。ー
・”マーウェン”の世界で、G.I.ジョーのホーギー大尉(マークの分身)が、ニコルの分身のバービー人形を撃ったナチスのSS(マークを襲った犯人たちの分身、実際に犯人の一人の腕には”ハーケンクロイツ”の入れ墨がある。)との戦いに勝利した事で、マークは裁判所で、震えながらも、暴行事件について、証言する。
<2000年、マーク・ホーガンキャンプは、バーでヘイトクライムにより瀕死の怪我を負い、記憶を失った。だが、彼は自分や自分を支援する周囲の人々を模したフィギュアの世界に没入し、写真を撮り、個展を開くまでになった。
今作は、その事実を基にロバート・ゼメキスがマークが再び立ち上がる姿、周囲の人々の彼を支援する優しき姿を、G.I.ジョーのホーギー大尉と5人のバービー人形の”劇中劇”をメインに描き出したモノである。
ヘイトクライム(憎悪犯罪)の加害者への怒りを直接的に描くのではなく、被害者が徐々に再生していく姿を描くことで、多発するヘイトクライム(憎悪犯罪)に対して、警鐘を鳴らした作品である。>
空想の世界の孤独と希望。
無謀な暴力を受け生死を彷徨ったことから記憶障害と過度のPTSDとなったマークは、ミニチュアのフィギュアを撮影しながら、その空想の世界に自身を重ね合わせ孤独に生きている。
しかしその撮影は緻密で、個展を開くまでに人々を魅了し、少しづつ精神の回復に向かう。
実話である。
監督は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『フォレスト・ガンプ/一期一会』のロバート・ゼメキス。
ミニチュアのG.Iジョーやバービー人形たちはモデルとなる人間そっくり、動きもなめらかで美しい。このフィギュアシーン(CGアニメ)だけでも出来が良く見惚れてしまう。
評価が大きく分かれる作品となったようですが、私は好き。
空想の世界の孤独と希望を良く描き出していると思います。
良い作品です。
設定が飛んでるわりに平凡な展開
モデルがいたことを最後で知り、それが一番の驚きになってしまった。だからか、とも思った。設定が飛んでるわりに平凡な展開。もっとぐちゃぐちゃにやれそうなものだが、実話ベースでそこの縛りがあったのね。。
エピソードは上記のせいか全体的に尻切れトンボにしてある。あと、ニコルの元彼?ももっと絡むのかと思ったら後半全然でてこなかった。
のんびり見れる映画、という点ではよいと思う。人形パートは映像作品としておもしろい。
映像としてはすごい
人形劇(CG)がまるで本物みたいな質感で、それで生み出されるファンタジー性というか
現実とフィクションの境目みたいなものを超えようとしていたと思う。
ただ全体としては「実話ベースである」ってことの加点が大きくて、
物語としての含蓄は薄かったんじゃないかな。
僕がPTSDに理解が乏しいせいかもしれないけども。
So-called people
人形が繰り広げる活劇。技術的な挑戦、されどアニメが良いか、人形劇が良いか。話としては着地しているが、ドラマティックではない。実話ベースなのでそれは良いのだが、タイムマシンがクライマックスになってしまうと煙に巻かれた気持ちになる。人形劇だと主人公の心理表現としては物足りないということか。後、女優陣もキャラ描写が総じて浅い。
ヘイトのトラウマに苛まれる主人公。それを排する勇敢さがテーマであるが、讃えることは良いが、引きずり出すようなことはあって欲しくはないもの。
なんたがGIジョーが欲しくなるわ
個人評価:3.7
フィギュアの世界を通し、現実と向き合っていく。人形愛の作品はいくつかあるが、流石のゼメキス作品だけに、現実と空想の狭間の世界観がよく出来ていて、気持ちよく鑑賞できる。CGの可能性に魅せられてからの後期ゼメキス作品の中では一番好きかもしれない。
男子にしか分からないフィギュアの楽しみ方も教えてくれ、鑑賞後はフィギュアが欲しくなる作品だ。
いい意味だけど、変な映画だったなあ
「ハイヒールには女性の真の心が表れている。だから、時々、自分も履いてみるんだ」と感じている主人公。酒場でついそれを話したが為に、気持ち悪がった男達に殴られ蹴られ、記憶喪失含めて脳に障害を負った。ジオラマ内で人形を使った写真を撮って、それが割と人気がある。
これがこの映画のシチュエーションだが、自分で書いても変な話だ。ただ、この映画は実話に基づいている。
最初から最後まで、奇妙な感じは抜けない。自分にはそういう嗜好はないんだな、とわかる。(映画を観なくても、自分にその嗜好がないことは知ってたけど…)
まあ、変な映画です。でも面白い! 進めば進むほど、わかってきて、面白い。何がわかるかって、彼の過去、彼の行動、彼の苦悩… ただ、彼の行動の意味はなかなかわからないのだが、それも後半になれば、徐々にわかってくる。わかった頃に応援したくなり、それは終盤なので一気に終わる。そんな感じだったなあ。
ただ、それは心地よかった。わかった喜びというか、ずっと見てきた彼の行動=彼の頭の中なので、「そういう嗜好もあるだろうな」と心から思えている。なんか、すごく気持ちいい。
この映画を可能にした、「人形の表情だけが人間」というのは、CG技術のひとつの頂点だなぁ。そして、監督の超有名作 "バックトウザフューチャー" のオマージュも、世代的にジャストミートでした!
少年R.ゼメキスの胸の内
心が少年のまま、成長しない監督はハリウッドに何人か居る。
そのうちの一人がR.ゼメキスだと私は思う。
彼が表現する主人公はいつも悲しみと喜びの狭間にいて、
一番大切なことを見つけてエンディングを迎えるパターンが多い。
きっと今回もそうだろう、ほらねやっぱりねと思っても、
彼が題材にする社会問題はいつも深刻で、今回もひどいPTSDを題材にしていて、
それとクロスドレッサー(女装趣味)ってどんなんや!と思ったら、
これ実話なんですね、無知ですみませんw
しかし映像の魔術師は衰えを知らず、
エンタメとはこういうことさ!とドヤ顔が画面を通して見えてしまうくらい、
やっぱり魅せられた120分強、たいしてイケメンでもなく、
たいしていい人でもない主人公が、
いつの間にか拳を握りながら応援していて、最後は栄光の架橋を歌いたい気分にさせるくらい、
よくできた脚本でした。
丁寧に作られた作品は、観ていて本当に清々しい。
ああ、1900円以上の価値あったよホント。
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