「終わったらごはんが食べたくなります。とくにうどん。」雪子さんの足音 Aiさんの映画レビュー(感想・評価)
終わったらごはんが食べたくなります。とくにうどん。
ちょっと怖い大家の雪子さん、その大家さんのアパートに入居した大学生の薫くん、同じく入居者の女の子の小野田さんのお話。
美味しそうな食べ物がたくさん出てきます。
主演の雪子さんを演じる吉行さんと浜野監督へのインタビューによると、地元の調理専門学校が協力しているとか。
https://cinema.co.jp/column/satori-ito/article/276
寛一郎さん演じる薫くんが料理をおいしそうに食べるので、終わったらごはんが食べたくなります。
私はうどんが食べたくなりました(笑)。
はっきりとは出てこないけど、大家さんの雪子さんは、主人公の薫くんに恋をしてるんじゃないかなと思います。
薫くんも薄々気づいてるけど、認めることは出来ないし、受け入れることもできない。
一方で薫くんは、おいしいご飯を出され、おこづかいももらって、胃袋と財布を掴まれてだんだん困惑していく。
薫くんは作品中、一貫して受け身で、多くの場面で眉毛八の字の困り顔。
薫くんがもっとちゃっかりした男子だったら、お互いうまくいっただろうにな…。
吉行和子さん、とてもきれいです。
原作の雪子さんは願望を叶えられなかったけど、映画では叶えられたのかも。
また、もう1人の登場人物である小野田さんも心に残ります。
どうしようもない深い孤独と長い苦しみ。
お金を出してでもすがりたいときってあるよね…と、原作からすると同年代の小野田さんに、ちくちく痛む胸で共感してました。
幸せになってほしいと心から思います。
私もこれから歳を重ねて、おせっかいおばさんになっていくのでしょう。
誰かにおせっかいをするたびに、自分のなかの雪子さんと出会い、自分を戒めたり、笑ったりするんだろうな。。
折に触れて思い出すことになるだろう、心に残る映画。