「新しい時代に求められる目」メン・イン・ブラック インターナショナル 中野祐治さんの映画レビュー(感想・評価)
新しい時代に求められる目
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これまでシリーズを通して観てきた『メン・イン・ブラック』。当然のように、その続編である『メン・イン・ブラック:インターナショナル』も手に取った。今回は主演も舞台も刷新され、どのような展開になるのか純粋に興味が湧いた。新たな風をどう感じられるか、それが一番の動機だったと思う。
今作で印象に残ったのは、エージェントMが自らの強い意志でMIBに入り込む姿と、組織の“内部に敵がいる”という展開。公式(オフィシャル)な肩書きや立場にいるからといって、それが必ずしも信頼できるわけではない。Mは、外部から見れば新人だが、組織に染まりすぎてしまったベテランよりも本質を見抜く力を持っている。さらに今回は、世界規模で話が展開することで、“正義”や“味方”の定義すら揺らぐ感覚があり、スケールの大きさも楽しめた。
この「オフィシャルであること」と「本当に信頼できること」のズレは、ビジネスの世界でも頻繁に感じる。私はこれまでさまざまな業種に関わってきたが、肩書きや組織の公式な立場以上に、“その人が何を見ているか”“どんな視点を持っているか”が重要だとつくづく思う。組織にいることがゴールではなく、その先に何をするかが問われる時代だ。エージェントMのように、自分の目で真実を見極め、自分の責任で決断する姿勢は、今の時代の働き方そのものに通じる。
『インターナショナル』は、これまでのシリーズの世界観を踏襲しつつも、新しい価値観と課題を突きつけてくれる作品だった。
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