「マイノリティとコンプライアンスに着意」メン・イン・ブラック インターナショナル 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
マイノリティとコンプライアンスに着意
テッサトンプソン見ていて、なんとなく背が低いんじゃなかろうか──と思って、ウィキペディアを見たら162㎝だった。てことはヘムズワースが高いのか──と思って調べたら190㎝だった。にしてもテッサトンプソンは、見る限りヒールをはいていた。もうすこし高低差がなくてもいい──気がした。どうでもいいことだが。
お金も技術もある、楽しい映画だったが、わりとスベる。笑かそうとしてる気配値が(ハリウッドのプロダクトとしては)拙かった──と思う。
いちばん楽しいのは導入で、開始20分くらいは、まじで面白い。白髪のエマトンプソンが映えるし、テッサトンプソンの、黒服黒ネクタイも、片方へぜんぶ垂らす髪型(なまえがわからない)も決まっていた。
メンインブラックというタイトルで黒人女性の主人公、かつ黒人の監督──ゆえ(ジェンダーと肌色に訴求しているので)公的に受け容れられる要素が揃っていた。それをまったく狙ってなかった──とは思わない。
が、前述のように、はじまりは楽しいが、だんだんダレて平板になっていく。悪くないが、続編を抜けきっている──とは思えなかった。
この映画には関係がないが、白人でも黒人でも映画づくりが巧い人が、映画づくりが巧いわけであって、賞レースのマイノリティ(女性or黒人)は、それが女性だからor黒人だから──とは関係がないと個人的には思っている。
この映画でもっとも感じたのは、スタントの過酷さだった。
格闘シーンに凄まじいガテン感がある。
スタント率は不明だが、要所要所H(ヘムズワース)の格闘が見せどころになっていた。またM(テッサトンプソン)が四本腕のリザ(レベッカファーガソン)と格闘するシークエンスでは、跳ね飛ばされぶつかって倒れる場面で、思わず「痛っ」と言ってしまった。──ほどに、スタントが身体を張っていた。
ただ映画的に最大級の活躍をしたのは親指大のポーンだった──のではなかろうか。