「俳優ありきの邦画の欠点がまたも・・・・・」AI崩壊 真中合歓さんの映画レビュー(感想・評価)
俳優ありきの邦画の欠点がまたも・・・・・
意外と面白かった!!!!!
公開当時、”AI崩壊”という直球すぎるタイトルにAIと言いつつアクション映画っぽい内容の予告編を見て、多くの人々は『ああ、また変な邦画が公開されるよ。。。』と思った事だろう。
僕もその一人であり、『AI崩壊なのになんでアクションしてんだよ!パソコンカタカタやれよ!』と思っていた。
あれから数年が経ち、こないだユーネクストにて鑑賞。
結構良かった。
まず引き込まれるのが序盤。AIが進化して事前に病気なんかが探知出来る理想の社会が築かれていることが描写される。僕こういう”世界はこうなっている”的な描写好きなんですよね~。
この部分の描写のクオリティが結構高くて一気に引き込まれました。
正直、予告編でこの辺があまり描かれていなかったので、この序盤の映像はもっと予告編で使うべきだったと思います。大沢たかおが逃げ回る”AI崩壊”ではちょっと伝わりづらい(笑)。
話を戻して、そんな完璧なAIが暴走するところから物語は始まる。人々の健康を司るAI。本来病床に居ないといけないような人間も補助しているAI。
そんなAIが正常な活動を止めた時、想像に容易い悲劇が起こるわけです。
この辺は非常に痺れました。もっとターミネーター的なのを想像しておりましたので、人々を補助する役割が途絶えるというリアルな設定。
ただでさえ現在でもスマホに頼り切りで、例えば今ネットの接続が出来なくなるだけでも不便な事が山ほどあります(この感想文も書けなくなります)。
そして少子高齢化社会である日本だからこそ、AIに補助された未来の人々という設定にも説得力が有るのです。スマホを手放せなくなったように、昨今はキャッシュレス化が進んでいるように、いずれ体調管理をしてくれるAIも手放せなくなるでしょう。
原作の無い完全オリジナル脚本とのことですが、非常によく出来たストーリーだと思いました。
そして、なんやかんやあって大沢たかおの逃走劇は続き、物語は佳境を迎えます。
僕は唯一取り残された女の子が怪しいと踏んでいたんですが、オチはその女の子でも女の子の持ち込んだ写真でもなく、普通に悪徳刑事がすげえハッキング装置読み込ませてました()というなんとも邦画クオリティに。
大体AIの話なのに結局人力かよ!という。そこはもっと外敵勢力的な要素も絡めてさあ、そういうのを匂わせても良かったんじゃ?
普通に警察組織のAI競争でほぼ一人の男によって日本中を管轄する最強のシステムが落ちるって(笑)。
道中が結構面白かっただけに、最後の最後のオチで小物が悪役というのがね。。。。
むしろ、ここは親子の絆的な感じで、亡くなった母親のメッセージ性込みの復讐でも良かったんじゃないかと。AIに頼りすぎるのもヤバいですよ、というメッセージで良かったんじゃないかと(シンプルだけど)。
斜め上の内部抗争しかも警察組織って。戦隊モノかよ。
あと解決シーン、邦画では相変わらずの棒立ち金田一少年スタイル。
そもそもそこはAIが犯人を暴いても良かったんじゃないか?防衛システム的なアレで。
もっと言えば大沢たかおがパソコンカタカタして短時間で作ったプログラムで全部解決ってのもなんともお粗末だし、そこは工夫して研究所のメンバーも手伝ってました的なのを少しでも欲しかった。
ジェバンニが一晩でやってくれましたっていうスラングもあるんだから、一般庶民だって馬鹿じゃないよと。
まあ、直球的なタイトルからして今後教材とかでも使えるような路線を狙ったのかな?とか思ったり。
途中までが面白いだけに、やはり犯人が人間でしかも小物くさいという恐らくイケメン(笑)俳優をゴリ押ししたい裏側の事情が垣間見えるのが非常に残念。
邦画はいつになったらジャニーズ俳優から開放されるんだ。弱者女性はもう映画を観ないでくれ😂