劇場公開日 2020年1月31日

  • 予告編を見る

「退屈はしない」AI崩壊 Rubysparksさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0退屈はしない

2020年2月3日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

入江悠監督のオリジナル脚本で、そのテーマや監督の思い入れもいろんなところで見聞きしていたので楽しみに観に行った。

ストーリーは非常によく練られていて、整合性もあるし、よくこんなお話思いつくね!すごい!とも思う、だから、万人に勧められる!面白いから観に行って!と友達には勧められる。ネタバレ厳禁で!

ハラハラドキドキしたし、テーマも自分の関心に近かってし、退屈せず、一度も寝ないで観終えた。

けれど、けれど、なんだろうか?この、何も残らない感。これはわたしの好みの問題なのだけど、このお話が映画という形になった時に、なんだか、印象が、つるんとしてる。ざらっとしたものが残らない。こんな話でこんなテーマなら、そういうものが残っても良さそうなものなのに。

ポンジュノのパラサイトやタランティーノのワンスアポンナタイムインハリウッドを観た時の、ずっしり感がなぜかない。演者が有名な俳優さんだから?いや、ソンガンホやブラピだって超有名ですよね。なんだろうなぁ。でもヒットはするのかな。ランキングは1位だそうでよかったですね。

入江悠監督の出世作の登場人物たちは年月を経てもまだ心に残っている。彼らはまだわたしの心の中にいる。彼らの溢れだして誰にも止められないエネルギーみたいなもの、IKKUの焼肉屋のシーン、アユムの法事のシーンやエンドロールの姿、マイティの面会のシーンなどで感じた、彼らの抱えてきた葛藤を凌駕するような、切実な人間のエネルギーの爆発みたいなものが描かれた入江悠作品が好きだったので、22年目の告白も本作も、あんまりそういう記憶に残るシーンが見つけられなくて、ちょっと残念。物足りなく感じてしまう。

事象への危機感や問題意識は鋭いし、ストーリーの整合性もあり、よくまとまっているのだろうけど「人間」そのものが描かれていない気がして。でも、次回作にも期待していますし、また初日かその週末に必ず観に行くと思います。

Rubysparks