「ホラーです」記憶屋 あなたを忘れない ichigoichieさんの映画レビュー(感想・評価)
ホラーです
記憶はとても大切なもので、記憶を消すという特殊な能力を持ち使うことに特に掟というものもなく、若い孫に対して人の為に使いなさいと曖昧に言う祖父に違和感を感じました。その曖昧さから来ているのか、よりによって身近にいる恋敵が暴行された時にその能力を私利私欲を交えて利用するのは同性としても人として問題あり過ぎだし、記憶を消したあとの当の本人は明るくあっけらかんと好きな人の側にいる所や、罪の自覚よりも、記憶屋は都市伝説と言われているなど記憶屋の世間の評価をリサーチして好きな人に可愛らしく不服を述べたシーンも自分主体であるし、シャワー中に自分の能力に苦しんでいるような所も、その苦しみが罪だけに焦点を当てたものではないことに、反省よりも自分の能力に対する特別な気持ちが透けて見えて、性根の悪い部分が芳根さんの可愛さに打ち消されておりましたが、記憶屋は大変自己愛が強く気持ち悪い人で狂っており、芳根さんの演技から影の部分を感じなかった為、何かが欠如している人がこんな能力を持ち合わせて乱用するホラーだと思いました。
高原先生が入院された時に、先生の身体の心配よりも、記憶屋に纏わる話題で吉森が大きい声を出した山田涼介さんの演技が、演出面では違和感を感じました。他の場面でもいがるような演技が多く、今後表現の引き出しが増える事を期待したいと思います。
話が前後しますが、記憶屋が高原先生の娘さんの記憶を消さなかった所は良かったですが、その後好きな人にその事を評価されたいといったやり取りがあり、最後は彼から自分の記憶を消して姿を消したのでしょうか?最後に結局、短絡的に能力を使うのかと、懲りてない所も不気味でした。
嫌な記憶も消されること無く向き合い自分の糧になどと美談で締めくくれない、パラレルワールドラブストーリー以来の気持ち悪い映画でした。その不気味さが芳根さんの可愛さが勝って分かりにくい所がこの作品を評価出来ない要因となりました。芳根さんが可愛さよりもクレイジーさが際立っておれば、女優として一皮剥けたのかなと思うと少し惜しいです。
佐々木蔵之介さんの演技が安定だったので若干甘めの評価にしました。