「恋人から変人に変わるってこともあるじゃろ。などと書くと誤解を招くじゃろ。じゃろってなんじゃろ…JAROに相談してください。」記憶屋 あなたを忘れない kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
恋人から変人に変わるってこともあるじゃろ。などと書くと誤解を招くじゃろ。じゃろってなんじゃろ…JAROに相談してください。
劇場内で一人で笑ってしまったのが15年前の山崎事件。犯人の名前が山崎たかしって…もしや監督も『ユア・ストーリー』に腹立てたくち?などと、細かなところにも反応してしまいましたが、とにかく無くしたい記憶についての泣ける話でした。
人間は忘れることのできる唯一の生き物ではありますが、あまりにも悲惨で苦しい記憶はなかなか忘れられません。しかし、トラウマとなってしまった記憶を消して、PTSDが治療できるようになるのも遠い未来の話じゃないのでしょう。また、認知症なんてのは最初はつらいし、周りもつらいけど、最終的には幸福なのだとも誰かが言ってました。
都市伝説でもある記憶屋さん。辛いことや悲しいことを全部消してしまうのを良いことだとは言っていません。戦争や災害、子孫に語り継ぐことによって二度と起こさないように、対処できるようにすることが必要だと言います。ただ、辛すぎて生きていけない。そんな人にだけ記憶を消すという施術(どんな方法かわかりません)を行うのです。
【ネタバレ】 プロポーズして「卒業まで待ってる」とほぼyesの返事をもらった遼一(山田)は、自分のことをすべて忘れている杏子(蓮佛美沙子)に驚愕します。都市伝説でもある“記憶屋”に聞けば記憶を取り戻すことができるかもしれない!と考えた遼一。幼馴染みの真希(芳根京子)や大学講師で弁護士の高原(佐々木)とともに記憶屋について調べていくのです。レイプ被害者の女子高生も記憶を消してもらったという展開から、もう犯人、いや記憶屋の正体はわかったようなものです。女子高生の件からも、杏子も同じく被害に遭ってることも想像できるのです・・・
高原も切除できない脳腫瘍を抱えていて余命宣告が出されている。離婚した妻とのあいだの子のエピソードも泣けるし、その子の記憶を消すかどうかの選択でも泣ける。パパの記憶が成長するまでの美しい記憶にもなるのです。高原本人に頼まれたとは言え、この真希の選んだ“消さない”決断は正しかった。そして、杏子の記憶を消したのが真希だとわかった遼一の答えも・・・「赦す」。許しはするけど、今後彼らが付き合うためには大きな障害ともなる事実。とにかく真希は遼一のことを大好きなんだから、単なる嫉妬と思われてもしょうがないのです。そして真希がここで選んだのは遼一から自分の記憶を消すことでした。これも悲しい。真希にとってみれば、大好きな遼一の記憶は残ってるんだもん。
ここで公園のシーンで即座に思ったことは、二人で広島のじいちゃん(田中泯)のところまで飛んで、遼一から杏子の記憶を消してもらい、杏子の記憶を消した事実や真希のことを記憶屋だと認識した遼一の記憶も消してもらう。とにかく真希の都合の悪い記憶さえ消し去れば、今後の二人は順風満帆。何なら真希の記憶屋である運命さえも消してしまえば、彼女の辛さもなくなるのです。他人の辛い記憶が全て映像として残るんだから、こんな能力も無くしちゃいましょうよ。そのうち医学が発展するじゃろうから・・・