「これやから番方はあかん。銭の使い方が分かっとらん。」決算!忠臣蔵 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
これやから番方はあかん。銭の使い方が分かっとらん。
浄瑠璃仮名手本忠臣蔵から古今東西、赤穂浪士事件にまつわる戯作は数あれど、これは異色。すでに数年前から世間では忠臣蔵物に飽きて、年末ドラマでもとんと見かけなくなった。たまにでてきた義士ものがこれ。まあ、監督の名前とキャスティングをみれば当然の内容。個人的には満足。なにせ、赤穂浪士たちに対する手放しの賞賛には眉をひそめる人間なので。浪士たちはけして潔癖でもなく、純粋な忠義のものばかりでもなく、そして事件のために振り回された人も多く、いろんな人がいたわけで。けっこう人間臭い演出が気に入りました。話の流れは忠実に、キャラはデフォルメし、いままで皆が見逃してた部分(特に金)をクローズアップ。内蔵助は女好きで妾を数人囲ってるとか、容姿よきと伝わる安兵衛を荒川良々が演じたり、監督の遊び心がふんだん。火消しの浅野と世に名だたるその姿もあり。お取り潰しに憤り籠城を騒ぐが、金の額を聞いて心が揺れる人の性。見事だと思う。
なお、お金にまつわる筋立てのこの映画、劇中、基本的に1文=30円で計算してました。個人的感覚は1文=20円、1両=8~10万円なので、現在の金額に直した際の額はやはりやや高いなあと感じます。
例)
1文=30円
1両=12万円
そば16文=480円
江戸⇔赤穂往復旅費 87万円/ひとり
大石内蔵助年俸1500石=6900万円/年
矢頭20石+アルファ=185万円/年
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