「定年過ぎの男が観て」天気の子 Jyakuyaさんの映画レビュー(感想・評価)
定年過ぎの男が観て
東北復興事業を必死にやった定年過ぎの男が観て、率直に涙し考えさせられてしまいました。
映画は素人ですが、この長編を通して圧倒的な描写力はなお健在、それがこの作品の世界に引き込んでくれました。でも問題はそこではない。細かな矛盾点や無理さは有るでしょうが、それも問題ではない。私が突き付けられたのは、
「一人の男として、たった一人の女の為に、自らの住む社会や自分の将来を犠牲にまでして、強く一途に愛する事が出来るか。」
と言う一点でした。私は、人は誰でも、強い意志と知力・体力の限界まで全力で努力し続け、己が命をも厭わなければ、社会に対して何某かの影響を与え何かを残せると信じるものです。
しかしこの作品の主人公は、決して強くも賢くも無いのに必死に動き、数百万人の公共の益を犠牲にして、唯一人の女を愛するのです。その決断を下せる勇気と愛に、小人である私は率直に感動させられました。「この作品を笑うのは自由だ、だがそのお前は、この決断を下せるだけの度量が有るのか!」と突き付けられていました。
ひたすら学び、全力で仕事をし、60余年を社会で生きて来た男として、社会の常識や大人の知恵を「それは本当の人の愛か?」と考え直させる、力強い作品だと思います。
是非、劇場のスクリーンで、細かい事は気にせず、素直に物語の中に入って、長い歳月を生きて来た大人として「自分に出来るか?」と自問しながら観て頂きたいと思います。私はもっとちゃんと考える為に、もう一度スクリーンで観るつもりです。
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