「観てよかった」天気の子 ruruさんの映画レビュー(感想・評価)
観てよかった
極力説明を省いてシンプルに見えてきちんと最低限描写されていて人物背景についても社会についても環境についても考えさせる、問いかけがあるとても面白い映画でした。
何も縛る物がなく感情に正直で真っ直ぐピュアな若さ、と世間体と形だけの常識と責任に従う大人の対比が都度されていてどちらの目線で見ても考えさせられます。
須賀が穂高の無垢な真っ直ぐさにあてられて、無自覚に押し込めていた物が溢れ出す瞬間、警官にお前らが穂高に触んな!とタックルするのが良かったです。
映画では何故あそこに須賀がいたのか分かりませんでしたが、小説を読んでヒナに関わった人全員が鳥居の夢を見ていたからだと思いました。娘からの電話で一瞬ハッとした顔をする所はありましたが。家族を持ったり大人になるとどうしても須賀さんの方に感情移入してしまいます。夏美さんを見てるとまだ自由と縛りの間にいる感覚で1番穂高達に近くて躊躇がなくて格好いいです。凪くんは1番男前です笑。
あのラストを見てもどっちが良かったのか個人的に答えは出ませんが。ヒナさんを犠牲にしたら良かったはやっぱり冷静に考えるとそれはそれで狂った世界なのかなとも。人柱制度自体がおかしいですからね(笑) どこかで知らない誰かの犠牲の上で成り立つ他者の幸せはループし続けてしまうんですね。誰のせいでもないと言いたいです。が、本人達は一生背負って生きていく覚悟でしょう。こんなに愛され守られるヒロインはいません。
お婆さんや須賀さん、周りの大人、天気予報のお姉さん、それでもゆっくりと環境に慣れたり変化していってる社会や人々の強さや優しさに少し救われました。氷河期がいつ来るかも分からないしいつ何が常識になるか分からないですしね。個人的には移動船とか浮遊施設など近未来的な建造物とか出来上がって逞しく生きてる世界も見たかったです。雨が降り続いてるのに空は晴れてる様に見えたのは二人の心を現したかっただけなのかそういう世界になってしまったのか気になります。
また3年後に続いた世界が見れるのかなと今後もワクワクします。