劇場公開日 2019年7月19日

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「あめ【雨=天=海】とつながるための映画。人の評価など気にせず楽しんでください!」天気の子 fuhgetsuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0あめ【雨=天=海】とつながるための映画。人の評価など気にせず楽しんでください!

2019年7月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

天気の子、やっと観れた。
映画のレビュー書いたりするのも最近やらなくなったが、今年もたくさんの映画を観まくり、神社やお祭りも、ライブや展覧会も、行けるときにどんどん行ってるから、その都度書きたくても追いつかないからいっそのこと書かないと決めていた。
海獣の子供がすごくよくて、いいのかこんなことを映画館で見せちゃってと思いながら、でも、今このときだからこそやらなきゃならない使命感のようなものがあったと思わせる、今まで見たアニメの中でも最高クラスに響命できる内容だった。
今回の天気の子も、前作君の名は。に海獣の子供の後でのしかかる期待を吹き飛ばすような、今このタイミングだからこそ世に放つべく公開された映画といっても過言ではない。
とてもヒットする内容とは思えない前評判のよい映画だけど、実際は賛否両論の微妙な映画だともいえる。
わたしは、もちろん感じ入る場面が多々あり、細かな不平不満のあるシーンはチャラにしてでも総合評価は高いを維持した。
新海監督の表現する世界に近いものを感じてる。
かつての勢いがなくなったジブリ世代を満足させる勢いがあるのも確かだけど、それは旬なだけで、熟した完成度の高さでいえばジブリを超えられない、まだまだ伸び代のある監督だと思う。
君の名は。で、現代社会の中に過去と未来の時空をつなげた。
今回は、現代社会の中に天と地をつなげた。
これで縦軸と横軸がクロス。
ここからちょっとストーリーにも触れるネタバレ注意。
映画のほとんどが雨のシーン。
災害クラスのはずなのに、あまりにも美しく描かれていて魅入ってしまう。
異常気象などなく、たかだか100年そこそこの観測で史上初のとか記録更新で騒いでるけど、この龍神が描かれた絵は800年前で、それ以前からずっと自然は自然らしく振る舞ってるだけだ。
東京も昔は海の入り江だった。
そこに戻ろうとしてるだけ。
異常でも何でもない、ごく自然な流れ。
別に雨が悪者ではなく、雨によって中断される人間側の勝手な都合が、雨を悪者呼ばわりしてきただけだ。
自然界にとって、夏の雨季は大切。
川は増水するために流れてる。
川の自然堤防はいつも決壊したがってる。
それが都市で起きるとどうなるか、想像どころか現実になってきている。
雨、あめ。
そう、天もあめだし、海もあめ。
雨も天も海も、中国の漢字で分別される前からあった“あめ”という言葉はすべて同じ意味でくくられていた。
高円寺にある、気象神社。
晴れは稲荷で、雨は龍神。
天気は、天の氣。
昔は旱魃があると、雨乞いで人柱を捧げてきた。
だけど、天気を恨んだり異常気象とは呼ばなかった。
雨がつづけば、雨乞いと逆の呪術を使って踊った。
天気の子は晴れ女という設定で、人柱など同じような世界を表現。
天の積乱雲にも深い海のような世界があって、不思議な魚が泳いでる。
雨と天と海は同じだと。
あめとして、今でもすべてはつながっている。
そんな、天気の子の映画だった。

fuhgetsu