「「雨乞い」ではなくて「晴れ女」?」天気の子 ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
「雨乞い」ではなくて「晴れ女」?
見終わった後の満足感は相当高い。前半の軽いノリのPOPな場面で楽しませた後、終盤の息詰まる展開で見る者の心をグッとつかむやり方は「君の名は」と同じ感じである。少年少女の単純なラブストーリーが、天地の不思議な営みや社会の壁みたいなものと絡み合って増幅され感動的なものにしている。古来、天気に関して言われるのは、日照りの時の「雨乞い」の儀式である。しかしこの作品では逆の「晴れ女」である。「雨乞い」が直接命に係わる深刻なテーマであるのに対し、「晴れ女」は人々に喜びをもたらす明るいテーマに見える。しかしながら犠牲が必要だということでは両者は同じである。このあたりの展開が実に巧みで、ファンタジーなんだけど本当の話だと思わせてくれる力がある。
「晴れ女」というありきたりのテーマから、これほど見る者を魅了する作品に仕立て上げるなんて、思わず「新海誠は天才か」と心の中でつぶやいた。
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