「映像美が見所」天気の子 二重丸さんの映画レビュー(感想・評価)
映像美が見所
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18禁ゲームのオープニングで名を馳せた監督だけあって、映像はとても美しい。そしてキャラクターとストーリーがボロボロ。
主人公とヒロインの現状は説明されていても背景が描かれていない(あるいは薄い)ので、どうしてああいうことをするのか分かりづらく感情移入もできない。須賀の方がキャラが立っているのはどういうことだ?
クライマックスも映像と音楽の力で無理矢理盛り上げているものの、鳥居まで走る主人公の動機付けが薄い。ないわけではないのだが、盛り上がる場面なのだからもっとビビッドな展開にしてもいいだろう。それに妨害役の警官たちはただ仕事をしているだけで「悪」ではないから、妨害として機能していない。
これらは全て、監督がストーリー構築を不得手にしている上に興味も薄いせい。だからこういう作品になるのはある意味必然なのだ。プロデューサーが強権を発動してでもスクリプトドクターをつけるべきだった。
実は映像美のところでも疑問が残る。前半の新宿歌舞伎町や漫画喫茶、インスタント食品の描写はやたら細かく執拗なのに、最後の水没した東京の美しさがほとんど出てこなかった。水没後の東京を肯定的に捉えているのにこれは駄目でしょう。山手線が水上バスになっても立派に人々を運んでいるとか、魚の形をした水滴が東京のあちこちを元気に泳いでいるとか、いくらでもやりようはあったのに。
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