「新海作品裏ベスト」天気の子 さとしさんの映画レビュー(感想・評価)
新海作品裏ベスト
新海作品と言えば、男女の心の機微を美しい映像と音楽に乗せて描く手法で高く評価されており、
前作「君の名は。」は社会現象ともなる大ヒットとなりました。
「君の名は。」が代表作である「秒速5センチメートル」と「言の葉の庭」の集大成であるとするならば、
本作は「雲のむこう、約束の場所」や「星を追う子ども」といった評判がイマイチだった作品の集大成と言えるかも知れません。
「君の名は。」ではまるでテーマパークのようにひたすらに美しく描かれた東京とは対照的に、
廃墟、貧困、暴力、風俗といったネガティブな問題を抱えるある意味でリアルな東京を舞台に物語が進行します。
本作の主人公、帆高と陽菜はそんな東京で出会いながらも決して陰鬱になることなく、明るく、力強く、支え合って生きていきます。
「もう一度君に会いたい」
ただその一心で狂おしい程に走り出す帆高の姿は気高く、美しく心を鷲掴みにされました。
本作は前作のように、ひたすら爽快で気持ちが良い作品とは趣向が異なり、
ともすれば目を背けたくなるテーマも織り込んでいるため、監督も言うように賛否が別れる部分もあるでしょう。
私自身、当初は「君の名は。」程ではないと評価していましたが、苦しみながらも、がむしゃらで自分の想いに真っ直ぐ力強く生きる帆高と陽菜の魅力に気付いたとき、本作が「君の名は。」に勝るとも劣らない傑作だと認識を改めました。
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