「感想というかメモ」天気の子 ぜっとさんの映画レビュー(感想・評価)
感想というかメモ
「君の名は」が新海誠のベスト盤なら、今回はそれを経た上での一歩先に進んだ代表曲みたいな感じ。
予告編を観た感じ、いつもの新海誠作品の男子女子が、いつもとは違って積極的に外の世界と触れあってて、「新海誠セカイ系やめたん?」とか思ってた。
実際、中盤ぐらいまでは家出した少年の東京での家族の形成だったり、恋愛未満のヒロインとの付き合いだったり、自分で金を稼いで生活できるようになるまでがなんならジュブナイルっぽく描かれてて、セカイ系が無理な僕は新海誠監督作で初めて乗れた。
「でも俺が乗れるってことは新海誠っぽさが薄れてるって事だよな…『君の名は』売れてひよっちまったのかな…」とか思ってた。
そしたらば、終盤に行くに連れ結局いつも以上にいつもの新海誠っぽさが全開の話に。
しかも今回は、主人公が開けた世界を経た上でセカイ系の世界を選んだり、登場人物の大人がセカイ系とか新海誠作品の青臭さをメタく批評してたり、実際に劇中の二人の行いで割とディストピアな世界になっちゃったりした後を見せてる分、その「新海誠っぽさ」がより強固に。
「俺はコレが本気でいいと思ってるし、コレで飯食ってるから!」感をドン!とやられたみたいでデルトロ的なジャンルに対する偏愛を感じた。
コレは、「君の名は」で自信のやりたいことがある程度一般の眼に触れた後にその本質を自分から語り直してるようなものだと思う。
生きづらくなったとこで生きるとか言うてはりますしね。
セカイ系に対するメタな批評にもとれる。
俺も須賀さんと一緒で「新海誠青臭くて食えたもんじゃねぇわ」派だけど、そこまで言うんだったら勝手に生きろ!くらいには感心しました。
特に、閉じた世界と開けた世界とを主人公が選ぶっていうのはよいですね。
そういった、開けた世界とセカイ系の世界の対比はSNSだったり公の象徴の警察だったり、ちょこちょこと小出しにもされてる気がします。
生きづらくなった東京も、それを暗示する雨も決して綺麗には描かれてないのもよいし、そらでも最後のカットに咲いてる花、っていうのもベタだけどいいじゃない。
それ以外だと、観光地以外、特に代々木側を含めた新宿がリアルな東京の風景も観てるだけで楽しいし、最終盤の東京も多摩とか小金井とかが地価上がってそうとか思いつつ、アトラスのゲームみたいでいい。
あと生きづらくなった東京も結局市民は普通に暮らしを営んでるらしいってのを描いてるのがよかった。
天気予報とか。