「説明不足だ・感情移入できないと批評する者たちは浅はかである」天気の子 かつおぶしさんの映画レビュー(感想・評価)
説明不足だ・感情移入できないと批評する者たちは浅はかである
この作品で多く見受けられる感想は主に、「説明不足」「感情移入できない」などが挙げられる。
それは当然だ。
なぜなら新海監督は、「あえてそうしたから」だ。
上記のような感想を抱き辛辣な批評とともに低評価ボタンをプッシュする者は、己の考察の浅はかさを嘆くが良い。
そして、下記に記した超個人的考察など見ず、ありふれたテンプレートキャラクターアニメを見まくって幸せに浸ってれば良いのだ。
前作、「君の名は」では、都会で暮らす少年「瀧」と、田舎で暮らす少女「三葉」というキャラクターのバックグラウンドや性格などをきちんと描写し、見る側への感情移入を促していた。
しかし、今作ではそうしなかった。
それはなぜか?
それは、今作の主人公とヒロインは、「想像上のキャラクター」ではなく、「現実世界の視聴者の中の誰か」であったからだ。
その誰かは視聴者の友人かもしれないし、家族かもしれない。
そして、視聴者自身かもしれない。
ほだかの「無力な自分と冷たい社会への絶望」、陽奈の「他者に必要とされているという充実感」、圭介の「誰かを想う一途な気持ち」、夏美の「自分とはとはかけ離れた自分にならなくてはいけない虚無感」
これらは、視聴者がこれまでの人生で感じてきた感情と一致するものも多いだろう。
登場人物は視聴者自身。新開監督は視聴者に感情移入ではなく、感情同化を促したのだ。
同化を促すことで、視聴者たちは虚構のキャラクターではなく、現実世界の自分自身と向き合わせられるから。
そうするためには、ほだかがなぜ家出をしてきたかの経緯も、顔の傷も、陽奈がバイトを辞めさせられた理由も必要ない。
むしろ、「自分ではない誰かというキャラクター」を想起させて同化を阻害させてしまうため、余分と言っていい。
「君の名は」や、それに類するキャラクターアニメを見て来た者こそ、今作は違和感を感じる箇所は多いと思う。
この展開でそれはないだろう、ここは説明不足だろう、このオチはあまりにも自分勝手すぎないか?
もし貴方がそれらの違和感を抱いたならば、貴方はすでに薄っぺらい固定観念に支配され、視野が狭くなっている。
そして、その違和感を想起させることこそが、新海監督の狙いだろう。
テンプレとお馴染みのストーリーラインを量産し形骸化しつつある日本のエンタメ産業に、新海監督は一石を投じたのだ。
君の名をヒットさせて誰もが知る映画監督になったのも、この作品をより多くの人々に放ち、視聴者の思い込みや固定観念を浮き彫りさせるためだったのではないかすら思う。
批判的な批評やレビューが、その根拠だ。
ヒロインを諦める代わりに世界が平和が訪れるというお馴染みセカイ系のテンプレートに、新海監督はクリエイターとしての作家性を発揮し彼自身の「答え」を描いたのだ。
彼女を救って、世界を壊す選択という、答えを。
その選択が自分勝手だと思う視聴者は、頭を冷やして価値観をリセットしたほうがいい。
ひょっとしたら、別の感覚が生まれるかもしれない。
作中で描かれていた、「汚い東京」「理不尽な大人たち」「無力な自分」「どうにもならない現実」
それらすべてが視聴者自身が感じている世界に対する不安や違和感そのものであり、そしてずっと雨であった天気こそが、その象徴であった。
しかし最後に雲間から光が差し込み、二人は言う、「僕たちはきっと大丈夫だ」
それは、ほだかと陽奈が大丈夫、という意味とは別に、
「こんな世の中だけど君たちならきっと大丈夫だ。自分の人生を生きなさい。ほだかと陽奈が、世界よりも自分たちを選択したように」
という、新海監督からの熱いエールだったに違いない。
視聴後に勢いに任せて書いた文章のため、ところどろこ支離滅裂で整合性に欠ける部分があるだろう。
ただ、これだけは言える。
今作は、君の名を超える新海誠監督の超大作だと。
目を引くために所々乱暴な言葉を使用致しました。
不快にさせてしまわれた方、申し訳ございません。
ただ、どうしても、もっとこの作品を見てもらいたい、違う視点で見てもらいたいと思い書き殴った次第です。
明日もっかい見てきまーす♪
最後にもあるとおり、ちょっと言い方が強引だけど、いいたいことはわかりました。
私は映画をあまり深く見ない人ですが、天気の子はとってもよかったと思っています!
正直、天気の子よりも雲の向こう約束の場所の方が分けわからんかったですw
私はメンタリストでも何でもないので監督さんの気持ちはわんないですが、自分も深く考えてしまいました。
ほかのコメントに自分の考えを押しつけないでくださいというものがありましたが、確かにそれもそうだと思いました。まぁそうするとこのサイトの意味がなくなっちゃいますけどねw自分と他人は全く違うのですから、他人の意見なんか聞き流すくらいがちょうどいいです。
あと、明日も楽しんできてください(笑)
あまりこういう風に他人のコメントに返信するのは好きではないですが、そういう考え方、価値観を押し付けるのはどうかと思いますが。映画を見た感想は誰かに強要される物でもなく、絶対的に映画の全てを分かろうとしなければいけない訳でもなく、見る人がそれぞれの楽しみ方で楽しみ、その上で様々な批評をするものなのではないでしょうか?
監督が深い映画を作ったとしてそれを読み解くかどうかは視聴した人に委ねられるのであって、読み解いた上で感動し楽しんだ人、読み解いた上でつまらなかった人、読み解かずに感動し楽しんだ人、読み解かずに詰まらなかった人、色々な人がいると思います。
それぞれがそれぞれの楽しみ方で楽しみ、批評をして感想を書いているのに「否定している人は浅はか、テンプレアニメでも見ておけばいい」などと否定意見におぞましい言葉を投げかけるのは「意見、考えの押し付けであり同調圧力」しか感じません。
ストーリーの緻密さ、映像の迫力や綺麗さ、キャラクターの良さ、とにかく素晴らしい所を称賛するだけで良いのではないかなと。違う意見の人間は「全否定」など、貴方みたいな映画を多く、深く楽しんでいる人ほどそういう「異常な否定、価値観の押し付け」などはやめて欲しいですね。