「あれ?ついていけない…。」天気の子 財団DXさんの映画レビュー(感想・評価)
あれ?ついていけない…。
本作を見終えての率直な感想は『早すぎ、というか詰め込みすぎ。』というものだった。
『所要時間がそれぞれ5分ずつのベタなフルコース料理を、ボーイが延々と説明してる』みたいな感じ?
物語開始時からテンプレのような家出少年の穂高くん。「田舎の少年が東京に出てきて身寄りなく寂しい思いを…」という説明とともに、五月雨のように続くスポンサーの宣伝シーンが続く。たしかに『金のない若者ならこういうところに行くかもな、こういうもの買うかもな』と自然な流れがあったが、これじゃあ映画じゃなくてCMだよなとどうしても思ってしまう。
そして圭介や夏美、陽菜と出会うのだが、この映画は全体的にテンポが早すぎる!!基本、一つのシーンが終わる前にセリフ・BGM・SE・カットが入り込んでくるので、観客は感情移入も余韻もあったもんじゃない。
(※不幸中の幸いか、物語のオチは割と早い段階でつくが)
また、いちいち入ってくるモノローグや説明台詞、(内容は素晴らしいが)多めに流れる楽曲で物語の粗を埋めようとするかのようにも感じた。
その割には下記のような大事な部分は語られない。
『穂高の家出のバックボーンは?』
『穂高はなぜ(おもちゃと思った)銃をお守りに?』
『実銃で発砲した男となぜ陽菜が仲良くなっていくのか?』
もちろん、今回も画と技術の進歩などの良い点はある。花火シーンの俯瞰視点は素晴らしいし、『花澤綾音』には笑ったし、『君の名は』の(もっとさりげなくして欲しかったが)登場人物のカメオ出演にはニヤリとした。楽曲の 自体の素晴らしさは言うに及ばない。
まとめると早すぎるテンポに的外れかつクサくて過剰な説明セリフ・モノローグが重なり、ほとんど物語とキャラクターの心情に乗れないまま終わってしまった。
どこで歯車が狂ったのか…。残念ながら期待はずれとなってしまった。