劇場公開日 2019年7月19日

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「賛否あるが、観る価値はある」天気の子 ぬさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0賛否あるが、観る価値はある

2019年7月20日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

興奮

総じて面白かったです。
新海作品は『君の名は。』『言の葉の庭』『ほしのこえ』『秒速5センチメートル』は見たことあります。今回は大衆向けとしては2作目(?)だと思いますが、より新海さんの作家性が強い作品になったと思います。

異論なく面白いと思われるのは、登場人物同士の掛け合いです。クスッと笑える会話が随所にあります。基本的に雨のシーンばかりですが、会話がうまくメリハリを作っていました。また、やはり映像が綺麗です。雨の描写ももちろんですが、個人的には花火のシーンが圧巻です。

どうしても前作『君の名は。』と比較してしまいますが、テーマや種明かしは全く別ですので、この作品独自の面白さが十分にあります。しかし、構成はどことなく『君の名は。』に似た部分を感じました。
種明かしや人物背景については、説明は少なめな印象でした。けれど、説明チックになってもいけないと思うので、これはこれでいいと思います。ただし、主人公の家出の原因はもう少し明確であっても良かったと思いました。

映画後半の主人公たちの行動は、観る人の価値観によって考え方が別れると思います。善悪で物事を判断するべきなのか、自らの「思い」に従うべきなのか。
現実に生きる中で、個人は常に周囲と関わっています。行動を一歩間違えれば、周囲に迷惑をかけることもある。そうした中で、自分を殺さなきゃいけないところを少しずつ覚えながら、大人になっていく。この映画に出てくる大人は、そうした人間として描写されています。ただし、この映画はそのような大人を否定も肯定もしません。主人公の選択についても、映画らしいラストの演出ではあるものの、手放しで称賛するわけではありません。
バカでくだらない選択と言ってしまえばそれまでですが、気高い行いと褒め称える人もいるでしょう。
その人の「生き方」や「理想」が映画の感想に反映される、巧妙に作られた作品でした。

少し気がかりだったのは、『君の名は。』『天気の子』に続く作品があるならば、その作品も同じような構成だと流石に三番煎じと言われかねないということです。ジブリや細田守作品のように、次回作では作品の「幅」をぜひ見せていただきたいです。

ぬ