ソリスのレビュー・感想・評価
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悲しげな眼で過去を見るな。過去はもはや再び帰っては来ないのだから
19世紀米国の詩人ロングフェローの言葉だと思うが、アバンタイトルの通信だけの音声シーンで現われる。端的にこれが今作品のテーマでありそれ以上でもそれ以下でもない。
ジャンルとすればSFパニックサスペンスの王道である。水星近くの小惑星で鉱物資源の採掘業務をしていた船が突然の小惑星爆発により軌道を失い引力により太陽へ吸い込まれて行く。艦内で一人生き残った船員を母船が助けようと悪戦苦闘する内容である。約70分間の生存サバイバルの中で、母船内の交代船長(船長が事故死した為)との繋がりが深まる。
漂流している艦内の多彩なアクシデントは緊迫感の連続で、何度も絶望感を予見するがその都度難題をクリアしてゆく様はすっかり心を持って行かれてしまう。前半はそのサバイバルに疲弊してしまい何度も諦め掛けるがその都度船長とのやりとりや幸運に恵まれながら、次第に生きる力を取り戻す。残してきた妻への伝言は『ごめん』ではなく、『家に帰るよ』に変わったのも数々の困難への乗り越えが心境の変化となって現われ、と同時に太陽の光が正に神へ触れたような超常現象を体現したような状態になったのだろう。そして今作品はラストも興味深く、船外へ飛び出す瞬間でエンディングなのである。救出は成功したのか失敗したのかの判断を観客に委ねる作りにしたのだ。盛り沢山のインシデントをクリアしてのまるで遠心力のような未決に感慨深いモノを感じた。BGMもかなり効果的に演出されていて没入感を大変感じた。まぁ説教臭いところは鼻につくのだが、あくまでも遊園地のアトラクション的な感覚だと思えば充分愉しめる作品である。
「未体験ゾーンの映画たち2019」上映作品
内容がわかりにくいのに評価ができるのかと思われるが、印象を伝えるつもりでいる。ほとんど見るものに情報を与えないソリッド・シチュエーション・Sci-Fi・サスペンス映画となっている。映画は、何らかの事故で漂流する宇宙船のコックピット内から救助を求めるトロイと救助に向かおうとするコマンダー・ロバーツの会話中心でロバーツは、無線の声でしか登場はしない。だからこの映画はハリウッドのような大掛かりな宇宙ものを期待すると裏切られるもので乗組員トロイ役のスティーブン・オッグの一人芝居と考えたほうが無難である。無線の声の主はイギリスの女優さんのアリス・ロウという人らしい。彼女のほうが演技として難しかったと思うし、それに加えて彼女の声のトーンは映画を邪魔しないものと感じた。それと韓国語のハングルのような文字がコックピット内に貼られていたのと話の途中で日本人の名前が使われた理由がわからない。
とにかくイギリスで評判にすらなっていないような感じでイギリスのSci-Fi情報誌SciFiNowの記者がこのように述べている。「映画の映像における効果はしっかりしていて、最初は興味をそそるが、シナリオはトロイについての数多くない状況や裏話にしか求めることはできないでいる。」またMovie Nationという映画専門サイトは「残り少ない燃料や空気しか残っていない宇宙をさまよう脱出ポットのストーリーのようなものが、あまり話が進んでいかないものと分かってしまう。」
評論家からも一般の視聴者からもあまりいい支持を受けていないのは事実であるのは確かなことだ。
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