シークレット・チルドレン 禁じられた力のレビュー・感想・評価
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よくわからないままエンディングへ
「超能力を持つ兄妹を演じた青春SFスリラー」とありますが、何がテーマなのかわからないまま進んで行き、「えぇ?これでエンディング」と頭を抱えてしまいました。ある意味、つかみどころがなく、何が中心にストーリーが進んでいるのかわかりませんでした。
父親の暴力から発する家族問題か? いやいや、違う。兄妹は近親相姦的?…でもないしなあ。兄妹が持つ超能力が問題を解決するわけでもなし、何もかもが中途半端に終わっており、これは、閉鎖的な森に囲まれたシチュエーション(雰囲気だけ)を味わう作品なのか…?
この映画を観た人は、きっと、ティモシー・シャラメ君が出ているゾ!と思って観た人ばかりにちがいない。『君の名前で僕を呼んで』よりも前に出演しているようなので(日本公開は2019年1月のようです)、客寄せパンダみたいな映画なのかもしれません。
アンドリュー・ドロス・パレルモが長編映画として初めて監督をつとめた映画らしいです。元々は撮影監督のようです。撮影として関わった映画で『サプライズ』というホラースリラーがありますが、この映画も正直なところ、自分にはあまりピンと来ませんでした。
ティモシー・シャラメを愛でる会
未体験ゾーンの映画たち2019の作品群の中の一作。
観客の性別の偏りがソコソコあったが、SF作品というのも事前情報であるからそこまで圧倒的ではなかった。
内容とすれば1992年放送の『NIGHT HEAD』が近いと感じる。兄妹のテレポーテーション能力を厭う父親、優しく受容れる母親、しかし母の病死がこの能力の引き替えだと強く思い込んでしまった父親により妹が川へ流されてしまう。そして離ればなれになった兄妹の心の葛藤が描かれるプロットである。妹が保護されたセンター内で、自分で解決することを図らずも教えられた妹はその決意を胸に、自身の超能力を最大限に引き出す。又、妹を殺されたと思った兄はその復讐の心で、父親に手を掛けてしまう。能力が無い人間と一緒にテレポートするとその人間は死んでしまうらしい。
まぁ、結局再会できた兄妹は、以前折檻で釘で壁に磔けられていた“家”を焼くことでようやく外界へ旅立つエンディングである。
そこまで難しい話しではないし、唐突に設定がなされている世界観なので、置いてきぼり感は大変強い。外界との間の壁という設定も結局曖昧だし、急に外は現在の発達した世界というギャップも不自然。壁を隔てた意味を余程綿密に設定しないと興醒めしてしまうと思うのだが・・・
世界観が曖昧で、こちら側の想像力に頼る割合が多いと興味が薄れると思うのだが、制作陣はどこまでしっかり作り込んでいたのだろうか?いや、題名の通り、“愛でる”為の作品なんだろうな・・・ 妹役の女の子が脱いでくれるサービスがあればよかったのにと思ったり思わなかったり(苦笑
ファンしか観る必要はない。ファンなら観ておくべきかも。
これはただティモシー・シャラメのファンが一応チェックしておくためだけの映画だろう。あえて見なければならない映画ではないし、シャラメのファンだとして楽しめる映画だというわけでもない。「君の名前で僕を呼んで」で彼の妖しい魅力に惹かれたファンを狙ってブレイク前の主演作を掘り出してみた、ただそれだけの映画だとしか言いようがない。
文明から遠く離れたところで、文明から離れた生活を送る一家には秘密があり、唯一秘密を持たない父親の横暴さに嫌気がさした兄妹のとる行動などが主に描かれているように思うが、正直なところ、主題が何たるかもいまいち伝わらないし、結局何が描きたい物語だったのかもよく分からない。兄妹の持つ特殊能力や母親の秘密の正体が語られないのはまぁそういう手法だと思えばそれもアリだとは言え、だからそれが何だと言うのだ?と首をかしげるばかり。社会を生きづらいと感じている少年少女の息苦しさの暗喩だとかいうことでもなさそうだし、生まれながらに十字架を背負った者の試練だという風でもないし、ただ特殊能力を持った兄妹が愚鈍かつ横暴な父親からひどい虐待を受け、しかしいずれ復讐を果たし、忌々しい家に火をつけ・・・終わり。その筋書き以外のものを感じる要素が何もない。
ただ、もし「君の名前で僕を呼んで」でティモシー・シャラメに魅了された人であれば、やっぱり押さえておいてもいい作品かも知れない。ストーリーに楽しめる様子は少ないが、ティモシー・シャラメ自体を眺める分には十分だと思うからだ。というのも、2019年現在シャラメ自身がもうしっかりと大人の男性へと羽化しており、「君の名前で僕を呼んで」に焼き付けられた「少年」と「青年」の狭間を行き来するような危うさが消えかける中(大人になって新たな魅力も出てきているのでそれはそれで良い)、この映画の中にいるシャラメは「君の名前で僕を呼んで」で見つけた少年性と妖しい魅力をちゃんと放っているからだ。
この先オスカー候補入りが期待されている「ビューティフル・ボーイ」や、シアーシャ・ローナンと再共演する「若草物語」などが日本でも公開されるだろうが、「君の名前で僕を呼んで」の時のような少年性はもうないかもしれない。だとすれば、この映画は知っておいてもいいのではないかと思うし、その姿をじっくり愛でておいてもいいかもしれないと思う。
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