ザ・マミーのレビュー・感想・評価
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キャッチコピーの様なホラーではないけど…
最初に想像していた様な作品ではなかったけど、社会派ダークファンタジーとして良作で、子どもたちの無邪気な様子にホッコリしたり、荒廃していても美しい世界観は圧巻だった。
凄惨な描写もあるけれど、爽やかで少し物悲しいラストシーンには思わず泣いてしまった。
巨匠も絶賛する素晴らしい作品なのに、邦題のせいで台無しになってる感が否めない…。
ホラーを冠にするならこの評価
メキシコのダークな社会情勢に幽霊がチラリ。
恐らく元々幽霊メインにする気など無かった映画なのでしょう。
ある意味恐ろしい映画ではあるので
評価分かれる映画かと思いますが…
私は純粋にホラーを求めて視聴したので。
ホラーを看板にするのならこの評価です。
「そっちのほう」が怖い
姿形が腐りきっている得体の知れない異界の者より、街なかを歩くふつう人間の方が断然怖い。そういうメッセージ性のあるホラー映画。
社会派なストーリーに乗せてるからこそ際立つ「人間の怖さ」を「異界の者の怖さ」と比較している。現実と非現実。怖いのは、現実。
しかしながら、最後、女の子が草原を歩くシーンは、どうしても彼女の死を連想してしまう。ゴーストタウンから緑豊かな大地への場面転換は、不自然に感じた。
最初から死んでいたのか?いや、そうするといろいろ説明がつかない。となれば、異界の者たちが、御礼として彼女を「良い場所」へ“その力”で誘ったのかもしれない。
…という物語を、現実世界で実際にこの地域に住む人たちが観たら、どう感じるだろうか。
警察も当てにならない、守る者もいない。孤立無援で仲間を作り、身を寄せ合い、守り合わなければ生き抜けない。いつ死ぬかもしれない現状に、大人ですら希望をもてない環境下で暮らす子どもたちは、どう生き抜けばいいのか。現実世界にこういうことが起きている。それを考えると怖過ぎる。
社会派ファンタジック・ジュブナイル、時々ホラー。チコちゃんに殺される!
序盤、エストレアの通う学校で銃撃事件が起こり、学級閉鎖となる映像。もうこれだけでメキシコにおける貧困地域の凄惨な状況が理解できる。政治家たちもギャングと手を組んでいて、麻薬売買、人身売買など悪に手を染めている世界なのだ。映像も綺麗だし、汚い部分でさえファンタジーとしてとらえることができる。
エストレアの母親はギャングに連れ去られ、多分殺されているであろうことは伝わってくるし、シャイネが手に入れたスマホの謎にも惹かれてしまう。充電長く持ちすぎだろ!とか、テレビも観ることができるとか、ホームレスな孤児たちでも『ロード・オブ・ザ・リング』を知ってるのか!などといったツッコミはこの際ナシだ。
トラというキーワードも、仮面を被って遊んだり、トラ人形が動き出すといったファンタジーによって解決されるし、逆にミニドラゴンの謎なんてのも新たに湧き出てくる。さらに母親の囁きが怖いというより、守護神のようにも感じられ、血のような液体が流れていくところも守られてる感じがして安心できるのです。しかし、大人の汚い世界は残酷なまでにチビッコ達に襲い掛かってくる。一番小さいモロちゃんが殺されたときには泣けてくるのですが、すぐに幽霊となってエストレアを守ってくれてるかのよう。
所々理解しにくいところがもったいないとも感じた。教室の女の子が渡してくれたチョークだとか、三つの願いだとか、スマホの電源入れっぱなしじゃ見つかってしまうだろうとか・・・一番理解できなかったのが邦題ザ・マミー。定冠詞が付けばmummy(ミイラ)のような気がするし、てっきりそっちのホラーかと思ってた・・・
ティグレ(虎)か
貧しい世界に生きる子どもにとって救いのない世界で「虎は何も恐れない」と必死に生きる子どもたち。
出来ることは所詮子どもなので、銃を構えても撃ったらぶっ飛びそうで逆に恐い。
主人公エストレアの周りに付きまとう怪しい何かは怪現象ではなく、心の描写なのか?ファンタジックな感じだ。
しかし、この作品を観ていると本当のメキシコでは圧倒的な絶望があるのだろうと思ってしまう。
女、子どもであれ容赦なしだ。
警察すら、殺人動画を見せても動かない。
メキシコでこの作品はどう評価されたのだろう?
ラストはキレイな風景なのだが、これで良いのか?不安になってしまう。
いわゆるホラーまがいの映画
ホラーではなく社会派です(笑)
強いて言えば、「ホラーの要素も織り込みました…」ぐらいでしょうか。そういう目で観れば、平均点ぐらいの映画ですが、この宣伝ポスターには悪意を感じます(笑)
ホラーを観たい観客に誤解させて、そうでない物を観覧させようという…そういう意味では、ワーストムービーとしても良いのですが、…。
ホラー観たさに、まんまと騙されたという後味の悪さです…(笑)
なので…
この映画、ホラー映画としては、まったくオススメしません!(笑)
*最近はメキシコの麻薬問題を取り扱った映画も多いわけだから、そういう路線で売りに出せば良かったのに…ちなみに、ロッテントマトでの評価は、無茶苦茶高いです。気になる方は、どうぞ…(笑)
トラは何も恐れない
ダークファンタジーやホラーの要素が満載の、子供目線のノワールのような物語。
ギャングが牛耳る半スラムのような街を舞台に、孤児の仲間や家族への想いを軸にした厳しい前進と復讐が描かれていた。
急に消えた母親と起こり始める奇妙な出来事に家を飛び出すエストレヤ。
導入はやや唐突にも思えて一瞬戸惑ったけど、どんどん嵌まり込み惹かれていった。
家族を奪われた子供達が、成り行きとはいえ恐ろしい大人に向かっていくさまがとてもスリリング。
ストリートチルドレングループのリーダー、シャイネがとにかくかっこよくて惚れ惚れする。
クソガキが自分より背の高い女の子に向かってクソガキ呼ばわりしてるところが好き。
10歳もそこそこの年齢だろうに、大人顔負けの達観した言葉を吐く彼。そうならざるを得ない状況に苦しくなる。
それでも廃墟の水たまりに集まる魚にはしゃいだりボールで遊ぶ子供達の表情がたまらなく愛しくて少し泣いてしまった。
エストレヤとシャイネの少しずつ少しずつ距離を詰めていく過程が可愛い。モロちゃんは何しても可愛い。
青年ギャングに向けた強い言葉の選び方に気持ちが込められている。
願い事の叶い方がしんどい。
死者に導かれる形で全てが繋がった時の絶望と希望に胸がズキズキする。
ボロボロになってゴミのように溜め込まれた彼女達の死体、涙を流す白目の姿が恐ろしくも切ない。
予想はしていたけど、改めてあの言葉の目的が見えた時は少し安心する。
最後なんてもうどうしようもなくだいぶ泣いてしまった。
鳥のブレスレット、エストレヤの母親はどのようにして手に入れたんだろう。何かキツい体験を経て受け継いだんだろうか。
未来にいつの日か、あのブレスレットがもっともっと良い形で誰かの手に渡ればいいなと思う。
付いてくる血液のラインや落書きのアニメーション、死者に不思議な生き物の演出がファンタジックで面白い。トラさん人形可愛い。
エストレヤを呼び込む声に悪意が無いことはなんとなく伝わるけど、その姿の出現の仕方はなかなか怖かった。
ホラー的な恐怖はそこまで無いけど、しっかりダークな描写を怠らない姿勢が好き。
残酷で厳しい話だけど、どこかほっこりする暖かさを感じる良作。
「シャイネ」という名前の通り、光に囲まれる彼の姿とエストレヤの戦士の表情が忘れられない。
Adiós.
新たな才能
残酷な現実の中で生きる子どもたちの、美しく悲しく強い物語。
この題材を「パンズ・ラビリンス」のようなリアリティとファンタジーそしてホラーとして描くとはアイデアにしびれます。
デル・トロがプロデュースすることに決定した、イッサ・ロペス監督の次回作が楽しみ。
コミュニティ
父親はおらず母親も行方不明となり孤児になってしまった少女が、同様の子供達と行動を共にする話。
既に母親はおらず学校に通っているところからちびっ子ギャング達の元へ行く件は結構唐突だし、スパでのやり取りはギャングも子供もめちゃくちゃ。
子供だからって何でもありじゃないよ。
妄想か夢か、ホラーというよりファンタジーな感じで主人公がそれをみるのは構わないが、その理由が寂しさからなのか後ろめたさなのか判り難い。
などとつくりが雑な感じは否めないけれど、メキシコの暗部に触れる様な哀しさ、やり切れなさ等を描いたドラマとして面白かった。
宣伝文句の「想像を絶する恐怖」は皆無
18.未体験ゾーンの映画たち2019。ホラーではなくダークファンタジー。「え、その子が…」という、ちょっと意表を突く展開が、起伏の少ないストーリーを盛り上げた。徹底した暗さによりラストシーンが引き立つ
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