アンダー・ザ・シャドウ 影の魔物のレビュー・感想・評価
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現実の恐怖と異界の恐怖とが響き合って増幅されていく『エクソシスト』に似た力作
英国アカデミー賞最優秀作品賞、最優秀新人監督賞を獲ったというのだが、確かにそれだけのことはある力作だ。
イラン・イラク戦争時、イラク軍からのミサイル攻撃に怯えるテヘランの緊張した日常からくる恐怖が前半に描かれる。
そこにイラン説話における魔物の話を怖がる女の子、さらに魔物がミサイルをマンションに誘導したと信じるイラン家庭の話題が付け加わっていくと、日常の恐怖と魔物の恐怖が響き合い、本当に魔物がいるのかどうか、徐々に画面に惹きつけられていく。
女子の悲鳴と母のヒステリーが高まっていくにつれ、日常の恐怖と不幸は徐々に亢進されていき、その中に突然、魔物が姿を現わす。恐怖が一気に高まったところで、母子が着の身着のままで夜の街中を走って逃げていると、そこにイランの宗教警察が登場し、ヒジャブも着けていない母に向かって、次に同じことがあると笞打ちの刑に処すと脅す。
魔物ばかりでなく戦争も警察も恐怖をもたらす中、女子の心が母から引き離されようとするのに対し、母が必死に魔物と戦っていく…というのが中心的な話だが、日常・現実の恐怖と異界の恐怖とが響き合って増幅されていく映画の在り方は、オカルト・ホラーの金字塔『エクソシスト』に非常に似ている。というより同作からかなり影響を受けたのだろうと思う。
監督ババク・アンバリの作品は他に2作見ているが、『ワウンズ』は拾い物の良作といったレベルにとどまり、『アイ・ケイム・バイ』は駄作だった。しかし、本作を見て、今後とも注目すべき監督だと思わせられた。
期待していたよりも、しずかなホラーでした! ほんとんど怖いところは...
期待していたよりも、しずかなホラーでした! ほんとんど怖いところはなく、ちょこっとの怖い部分は小さい子の母親が壊れていく感じが怖かったですね。それ以外はまったく…。正直、展開が遅くてちょっとあきちゃいました。
目新しさ
イラン・イラク戦争時のテヘランが舞台だがイラン映画ではないホラー、という変わり種。色々と惜しい。ベールを使った怪異の造形とか家族のギクシャクに付け込まれる感じとか中々良かったが、どういうものなのか今ひとつピンとこなかった。
纏わりつく風
色々な要素が入り混じってぶつかってくるホラー。
戦争に家族の問題にご近所付き合いに性差に悪霊、あちらこちらから嫌なことが降りかかり、観ているだけで細かいストレスが溜まってくる。
夢が断たれたことからほぼ常にイラつき、夫に当たり娘から迂闊に目を離しまくる母シデーにはモヤモヤが止まらないけど、その姿は結構リアル。
客観的に見ているとどうしてもツッコミ入れてしまうけど、私があの立場だったら同じことをすると思う。
修繕も補強も全部テープで済ませるの好き。
現実問題の切羽詰まった状況と悪霊の追い詰めがだんだん激しくなるとハラハラできるけど、どうにも物足りない。
プクプクほっぺ娘を連れて行くにしてもその先がよく分からないし。恐怖演出もっと頂戴。
風の音が鳴り響くのが悪霊に纏わりつかれているようで気持ち悪かった。
ホラー的な楽しみはあまりなかったけど、一人の女性のストレスや母娘のすれ違いを描いた作品として面白みはあった。
寄り添うわけでも突き放すわけでもない描き方なので、ふんわりとしていてどうしていいかわからなくなるけれども…。
民族衣装としてのヒジャブは素敵だけど、身体を覆わず薄着で外に出ただけで警察に連れて行かれる風習は本当に苦手。
イランの悪霊「ジン」とは初耳だったので少し調べてみると、アラジンに出てくる「ジーニー」もその類らしい。男性型と女性型で呼び名が違うとか。
今回は女性型だったので「ジンニーヤー」と言うのが正解なのかな。
恐ろしい悪霊らしいけど、纏うヒジャブが結構可愛くておしゃれなのが面白くて好き。一瞬牛かと思った。
イギリスじゃなく中東だから!
アカデミー外国語映画賞イギリス代表作品?
英語以外のイギリス映画?
そう、イギリス代表ではなく
イギリスの英語以外の代表。
ポスターも嘘はついてないけど
紛らわしい!
まー完全に嘘の「サランドラ」のジョギリみたいな
嘘よりはいいけど(これはこれで楽しいけど)
つまり、中東産ホラー映画。
米国や日本みたいなホラー映画王国が
楽しめるような斬新さは皆無。
特に怖くも面白くもなく。。。
まれな映画好きのみどーぞ。
閉塞さろた親娘世界。
戦争下で余儀なく孤立化していく母娘に襲いかかる恐怖。まー、なんかわからなくはないんだけどショートホラーのロングバージョン的な仕上がりに。賞もとってるみたいだけど宗教観なんかも影響しているのかなー。
つくづく思うけど、やはり単館系で上映されるものはそれなりなんだろうな、っておもう。
ジン
2.未体験ゾーンの映画たち2019。アラブ世界で超自然的な存在として伝承されてきたジンを題材にした作品。トビー・フーパーがアラブ首長国連邦で撮った作品でも禍々しい存在として取り上げられていた。本作はホラーというよりはサイコスリラーっぽい。イスラム世界での女性が描かれている
エアロビ母ちゃん
1988年イラン・イラク戦争下のテヘランのアパートで「ジン」と呼ばれる悪霊に追われる母娘の話。
旦那は医者、嫁は医者を目指していたが政治結社に関与していた過去の影響で復学が許されず頓挫という状況下、旦那が徴兵され母娘が残されたテヘランにも戦火が及ぶ中、娘が変なことを言い出すというストーリー。
娘だけでなく周囲もそれっぽいことを言い出すし、自身も思い当たることが出てくるしという展開。
進行自体におどろおどろしさはないけれど、加速して行く不穏な出来事の数々に期待値上昇。
しかしながら、これといった決め手となる程の出来事はないしオチもあっさりで尻すぼみ。
ホラーであり直接的には主題には関係ないけれど、主人公の性格が超自己中であったり、娘がこの親にしてこの子あり的な性格なのが気になってしかたなかった。
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