「金曜ロード(本編ノーカットらしい)で初見」アラジン ゆいさんの映画レビュー(感想・評価)
金曜ロード(本編ノーカットらしい)で初見
○ジャスミンとアラジンの恋〜その結末について
(※前置き
アニメでは特に気になったことがなかったが、実写で二人を生身の人間として見たことで、このような感想を持ったのだと思う。
この映画の展開を否定的に捉えている訳では全くなく、ただ単に、アニメと実写とで同じなのに異なって感じられたこの「アラジン」という物語の印象を書いたまでです。
実写だからってリアルなのではなくて、これはファンタジーとして素晴らしいのだから。)
ジャスミンは賢くて自分を持っている女性で、王国の人々の幸せのため自ら王になることを願っているほど。しかし、広い外の世界に出たがっていて、魔法の絨毯に乗って世界を見たことで恋に落ちた。…ってとこがアッサリしていて、え、それで好きになんの?って思っちゃった。
またアラジンは、中盤に嘘を重ねて幸せになろうとし、ジーニーとの友情も失いかける。そこに、最初から確固とした芯があり決して屈することのなかったジャスミンとのアンバランスさがある。
だから、アラジンとジャスミンが結ばれない結末でもよかったのかも。リアルなら、アラジンが立ち去ってジャスミンも引き止めないでさようなら、という展開な気がした。
アラジンは成長し、最後はジーニーとの約束を守り本当の自分で生きようとしたから、この結末でいいんだけど。身分の違いを乗り越えて結ばれるというのも、この物語の大事な要素ではあるし。そこはお伽話だなと。
ジーニーと侍女(ダリア)のカップルの方が、お互いがタイプでぴったりハマり結ばれる運命の二人に思えた。
〜〜〜〜〜
○ジーニーとダリアが、旅する船の上で子供に言い聞かせるふうに物語が始まり、最後は2人で旅して世界を見よう、と言って結ばれる。最後に上手くまとまって本当に気持ちいい、素晴らしい導入
○最初、ミュージカル風なアラジンの歌と、空気感のある市場の風景で一気に舞台に引き込まれる。アニメと同じだ!ディズニーだ!というワクワク感
○魔法の洞窟が、これまたアニメの世界観そのままですごい。入り口も、中の煌びやかさも、怒る洞窟の恐ろしさも。
○愛嬌たっぷりの魔法の絨毯がとにかく愛おしい。赤い大きな宝石を目の前にしたアブーのお目めがキラッキラでかわいい。絨毯もアブーも抜かりなく仕事する。抜かりなく悪さをはたらくイアーゴと対照的。イアーゴもキャラが立っていて、厄介でウザくて、声の演技も良い
○フレンドライクミー
ずっと英語音声、字幕付きで見ていたんだけど、山寺さんのフレンドライクミーが聞きたくて、この部分だけ吹き替え視聴。捲し立てるように喋りまくるテンポの良さ、山寺宏一さんは本当すごいな。
次の機会にはウィル・スミスversionもチェックしたい
○ジーニーの見せる魔法が美しくて心躍る。彼が動くたびに現れる青い砂のようなキラキラも綺麗。ときどき2次元のジーニーが出てくるのも嬉しいポイント🧞♂️
○アリ王子一行のパレードのような行進や宮殿でのパーティー、何もかもが色鮮やかで派手で眩しくて豪華
○ジャムのくだり、かなりダレて感じた…。泥棒のときはうまーく滑らかに喋ってたじゃん、アリ王子しっかり!っていう場面なのはわかるけど。その前までテンポが良すぎたせいもあるかな。
○ジーニーのダンス、アリ王子のカクカクしたダンスから、調子に乗ってバク転まで繰り出すダンス、ジャスミンと踊り子たちのダンス。見応えがある
○ジャスミンの衣装がどれも素晴らしく美しい。重要な場面で、ジャスミンといえばこれと思わせるエメラルド色のドレスを着ているのが素敵
○ところどころ散りばめられたユーモアに、クスッと笑わされる
○最も好きなシーン!
ジャスミンが、王国を奪われて心の叫びを上げるシーン(書き下ろし楽曲である「スピーチレス〜心の声」)。自分のためでなく王国のため、母の意思を継いで悪に立ち向かうジャスミンの強さが存分に表現されていた。この歌が、この映画を新しく素晴らしいものにしている。
○オチもバッチリ。ジャファーは自分だけ力を手にしようとしたところに落とし穴があった。同じようにコソ泥だったが、アラジンは野望を捨てたからこそ本当の幸せを手にすることができた。強力な魔法使いだったジーニーは自由になった。すべてが美しく解決し一気に収束する、気持ちの良いオチだ。
しかし孤独でイアーゴしか話し相手のなかったジャファーって、悲しい人だなあ