「期待しすぎないで観た方がいい」アラジン SP_Hitoshiさんの映画レビュー(感想・評価)
期待しすぎないで観た方がいい
アニメの歌と世界観が好きなので、それが実写で観られたということでそれなりに満足したが、期待値が高すぎたのか、こんなもんなのかな、というところはあった。
ジーニーやジーニーの魔法の描写がどんなんなのかが一番興味があったが、まあまあ良かったと思う。
全体的にストーリーや善悪の描き方が薄っぺらく感じる。
アラジンとジャスミンはどんな風に惹かれあっていったのかのプロセスがよくわからない。
アラジンは良心の呵責なく平気で泥棒する(それも、金持ちからではなく、庶民の市場で)ところは全く好感が持てない。何を持って彼がダイヤの原石としての人間性があるのか分からない。貧しい人に施しをする描写くらいだが、それくらいなのか。
ジャスミンも、賢いキャラの設定のはずなのに、モノを買うのにお金が必要なことを知らないとか、無知さに無邪気さを感じるというよりは、愚かしい人間だという印象を持ってしまう。
また、身分が厳しい世界のはずなのに、主要キャラがその価値観からはじめから解放されているのも不自然だ。
たとえば、アラジンははじめは身分が高くて美しい、という点で憧れとしてジャスミンを好きになったが、だんだんジャスミンの人間性そのものを理解していくとか、
ジャスミンははじめはアラジンの身分の低さから軽く観ていたが、アラジンの行動から印象を変えていくとか、といったことかあれば、納得感があったと思う。
あと、ほかにストーリーで気になる点。
女性は美しさだけで評価されるのはおかしいとか、女性も為政者になれる権利があるはずだ、というテーマは、ストーリー上の必然性がなく、不自然に付け加えられた印象があり、物語から冷める要因になっている。
ランプの奪い合いの描写…。奪ったり奪われたり、にハラハラドキドキさせたいのだろうけど、アラジンがランプを手にしたときに「さっさとこすれや」と思ってしまう。
最後、ジャファーに三つ目の願いを言わせるところでは、なぜ「宇宙で一番になりたい」の願いでランプの魔人になってしまうのか分からない。アニメだと「ジーニーになりたい」という願いだった気がするが、記憶違いか?
美女と野獣の実写がすごく良かったので、必要以上に期待してしまった。ハードルを下げて観たらもっと楽しめたかも。
でも、「コンプレックスにとらわれすぎると、自分の本当の魅力に気づけない」というメッセージはとてもささった。