劇場公開日 2019年6月7日

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「お前みたいな友達いないぜ!」アラジン 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0お前みたいな友達いないぜ!

2019年6月8日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

1992年のアニメ映画『アラジン』を、
『シャーロック・ホームズ』『コードネーム U.N.C.L.E.』
等のガイ・リッチー監督が映画化したアドベンチャー作。
自分はアニメ版を観たことが無いのだが、むかーし誕生日に
『アラジン』のゲームソフトをプレゼントされて、
そっちの内容であらすじと音楽の一部は知ってます。
(ちゃんとアニメ版観れ。)

なのでアニメ版との比較は今回できないけれど……
いやあ、ストレートに楽しかったですね!

...

まずはMIB(Man in Blue)こと
ウィル・スミスがメチャクチャ良い仕事!
予告編が出た当時は「ただの青いウィル・スミス」とか
ネット上で揶揄されていたが(最近はシリアスな役も
多いしイマイチ爆発力も無かったしね……)、蓋を開けて
みれば人気絶頂の頃の彼を彷彿とさせる……どころか
彼の映画キャリア史上ベストアクト級のハマり役!

彼が演じるジーニーが登場するまでも軽快なテンポ
だったが、太陽ばりの“陽”のエネルギー全快で彼が
登場した途端、映画のギアが2段階くらい上がる。
残念ながらアニメ版を観ていないので偉大なるロビン・
ウィリアムス版ジーニーと比較はできないが、ラップも
ダンスもイケる彼(むしろそっちが本業)と絢爛豪華で
愉快なミュージカルシーンの相性は抜群で、思わず
体が動き出しそうになるし、頬も緩みっぱなしだ。
10000年で初めて築けたアラジンとの友情も泣ける。
You ain't Never had a friend like me!
(俺みたいな友達いないぜ!)
と歌っていた彼だけど、実はそれはお互い様だった訳で。

新鋭メナ・マスード演じるアラジンも親しみ易くて良い。
貧乏だからと自分に言い訳して盗人稼業をしていたり、
誘惑に心が傾いたりもするけど、心根は優しく正直で、
決める時はビシッと決めるナイスガイ。
軽快なアクションや暴走ブレイクダンスも良かったし、
心を寄せるジャスミンの前で『誠実でいたいけど
カッコもつけたい』と揺れる弱さにまた親近感。
お猿のアブー(こっちも誘惑に弱い)や空飛ぶ絨毯くん
との掛け合い漫才のようなやりとりも楽しく、
特に相棒アブーとのコンビプレーが爽快!

強気なヒロイン・ジャスミンも良いです。
やや頼りないアラジンを常にリードしているし、
自分の民と国を守りたいという強い思いもある。
ちょい世間知らずな所や、アラジンに惹かれているのに
負けん気の強さが前に出てしまう不器用さがキュート。
そしてジャスミンが敢然と歌い上げる『Speechless』の
力強さにはビリビリ来た。大事なのは『黙っていられない』
ほどの本気の意思に、人として共感できるかどうか。
そこに女だから/男だからなんて括りは関係無いはず。

...

さて、過去作でもキレ味抜群の編集&選曲センスを
披露してきたガイ・リッチー監督。
実は『ディズニーのファミリー映画にオフビートな
犯罪映画が得意なガイ・リッチー節がハマるのか?』
と密かに心配していたのだが……鰻に梅干し、
実際にゃ意外にナイスな組合せだったようだ。

今回はディズニー制作ということもあってか、
いつものトリッキーな語り口は封印されているが、
ムダのない編集&キレの良いアクションは保持。
(とはいえ、貧しい下町育ちの青年が主人公である点
 や冒頭の語りの鮮やかな着地に彼らしさも感じる)

アクションもドラマも歌も踊りも各々キッチリ仕上げ、
128分という尺を微塵も感じさせない見事な仕事振り。
おまけにいつも男臭~い映画を撮る監督なのに、
今回は前述通りにガールズパワーもバリバリである。

...

仇敵ジャファー役にもうひとつ凶悪さが欲しかったとか
ランプにまつわるルールをもっと落ち着いて説明した方
が良かったのではとか、ある人物はあんなすぐに自分の
都合で法律変えちゃったらけっこう反感食らうんじゃないか
とか、細かい不満点は無くも無いけれど……

歌も踊りもロマンスも友情もアクションもたっぷり。
愉快だけど親しみの持てるキャラもたっぷり。
陽気でカラフルでパワフルなエンタメ映画!
大満足の4.0判定です。

<2019.06.07鑑賞>

浮遊きびなご