「コレだよ...コレがモンハンだよ!!!!!!」モンスターハンター 永石薫(ほたらマン)さんの映画レビュー(感想・評価)
コレだよ...コレがモンハンだよ!!!!!!
映画化すると聞いた当初は誰しもが「え、大丈夫なの?」と心配になったこの企画。
結論から言うと、この映画はモンハンを遊んだときの興奮を最大限効果的に映画という形で落とし込んだ私的に大満足の作品でした。
まず個人的にモンハンというゲームの本質は、強大で明らかに人の手に余るモンスターを、装備やアイテムを「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤を繰り返してようやく倒した時の達成感にあると思うのです。初めてイビルジョーをソロで倒してBGMが流れたとき、私は文字通り涙を流して喜んだものです…。
この映画はその達成感を再現することに全振りした作品で、ドラマや物語性はもはや皆無。(だがそれがいい!)
まず誰しもが挙げる、モンスター達の迫力。これがもうスバラシイ。
CG技術や音響の力は言うまでもないですが、序盤のエリート特殊部隊チームがディアブロスやネルスキュラたちにわりにえげつないやり方でほぼ全滅させられる流れは「コレ、ハンターでも倒せなくね?」と、モンスター達の生きる非情な世界観がやりすぎなくらいに演出されていました。そしてそのとんでもない化け物ディアブロスを倒すため、ネルスキュラの牙を剥ぎ取りその毒を塗った矢でディアブロスを攻撃する一連の流れこそ、モンハンプレイヤーが倒せないモンスターに試行錯誤していく原作の体験とシンクロし、「これぞモンスターハンターだ!」と心の中で拍手喝采。ディアブロスを倒して終わりでも十分すぎるくらいの満足感でした。
そして密林へ移動してからはこれでもかというほどの原作ファンへのご褒美タイム。
これまでネルスキュラというマイナー目なモンスターしかいない殺伐とした砂漠地帯がフリだったと言わんばかりに、広大な川辺に並ぶアプケロスの群れの画はまさに初期シリーズのゲーム画面そのもの。映画として最低限必要な会話シーンでは、肉焼きセットや背景の船、ロン・パールマン演じる大団長たち調査団(MHWそのまま過ぎる!)の装備といった小物のデティールが見て楽しく、もう映画の設定なんかどうでもいいくらいの幸せに包まれてしまった...。
また、主人公アルテミスを演じるミラ・ジョボビッチの実在感が最高。
忠実に再現しすぎて若干チープ目なモンハン装備の奴らの中、画面が安っぽくならなかったのは偏にミラ様一人の力といっても過言ではない…。
それ以外にも、あのモンハン世界のゲームならではの(ゲームでしか成立しない)魅力を、映画として説得力のあるギリギリのバランスで取り入れるための様々な工夫こそが、陳腐なファンサービスなどよりもむしろ原作へのリスペクトを強く感じさせてくれました。
ただ一つだけ不満点…、BGMがアカーン!!!
せめて英雄の証は劇中で流してよ…。