「「モンハン」というよりも、「あのゲーム」の映画化では?と妄想をかき立てる一作。」モンスターハンター yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
「モンハン」というよりも、「あのゲーム」の映画化では?と妄想をかき立てる一作。
(恐らく)ゲーム大好きポール・アンダーソン監督による大作映画。ミラ・ジョボビッチを『マッドマックス 怒りのデスロード』(2015)のシャーリーズ・セロンばりの過酷な状況に放り込むが、それも二人の信頼関係のなせるわざでしょうか。ハリウッド超大作映画を渇望した映画ファンの期待に応えるため、大画面で巨大なモンスターが暴れ回る勢いは尋常じゃなく、その巻き添えで人がバラバラになっても一切気にしなーい、という潔さ。
最初のモンスターから逃れる場面で明らかに時間を取り過ぎていて、この調子でちゃんと結末までいくんだろうか、と観ている側がむしろこの点でハラハラ。案の定というか、ジョボビッチやトニー・ジャー以外の諸々の登場人物は、とても魅力的に造形されているにも関わらず満足に活躍もできない(ついでに台詞もない)という、かなりバランスの欠いた物語構成になってしまいました。その「描き込み不足」の理由も、結末まで観ると理解できなくもないけど、これは結局制作側の都合であって、やはり一つの作品で完結した物語を作ることが前提なのでは…、と、モンスター以上にキャラクター同士のやり取りや共闘を期待していただけに、この部分は少し残念に思いました。
結末の展開は、「モンハン」というよりもまんま「スカイリ…(げほんげほん)」。最初からこっちの映画化です、って言えば良かったと思うんだけど、やっぱり知名度の問題…?
アンダーソン監督は『イベントホライゾン』(1997)というSFホラー作品がとても面白く、本作でもその片鱗が少し見えるんだけど、この作品は興行的には失敗してしまったため、その後はゴシックホラー全振り演出を抑制している感が。次作はより監督の趣味嗜好全開の作品作りを!