「Re:ゼロから始めるハンター生活。 ポップコーンムービーとしては悪くないが、求めていたものはこれじゃないかも……。」モンスターハンター たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
Re:ゼロから始めるハンター生活。 ポップコーンムービーとしては悪くないが、求めていたものはこれじゃないかも……。
大人気ハンティングアクションゲーム「モンスターハンター」を実写映画化。
突然異世界へと飛ばされてしまったアルテミス大尉率いる特殊部隊。元の世界に戻るため、モンスター達と戦いを繰り広げるというアクション・ファンタジー。
主人公であるアルテミス大尉を演じるのは『フィフス・エレメント』『バイオハザード』シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチ。
人種差別的な描写により中国での公開が中止されたり、興行収入が大コケしていたり、モンハンファンが否定的なレビューをしていたりと、公開前から何かとケチがついていた本作を鑑賞!
ちなみに自分はそれほどモンハンファンというわけではありませんが、一応本作の世界観の元となっている「モンスターハンター:ワールド」はダウンロードコンテンツを除いてクリア済みです。
まず文句なしに素晴らしい点✨🌟✨
一つはモンスターのクオリティ!
本作で主な討伐対象となるモンスターはディアボロス亜種とリオレウスの二体。
砂の中に潜り、音を頼りに対象を攻撃してくるディアボロス。
そして空中から灼熱の炎を吐き襲いかかるリオレウス。
それぞれの特徴にクローズアップされた描写がちゃんとなされているし、何よりも大型飛龍種の恐ろしさ&強さが上手く描かれていた。
もう一つの素晴らしかった点は、登場キャラクターの再現度!
大団長や受付嬢、主人公の同期である2人組のハンターなど、ゲームプレイヤーならお馴染みのキャラクター達の見た目に関しては、よくぞここまで再現してくれた!と言いたくなるほどの出来栄え。
トニー・ジャーが演じている調査班リーダーも、見た目だけでいえばかなりの再現度だと言える。
彼らの装備する武器やアルテミスの装備する防具、スリンガーなど、モンハンファンも納得する衣装や小道具のクオリティも見事。
んで、ここからは賛否両論点🙄🌫
やっぱり一番の賛否両論ポイントは、主人公が異世界転生してくるというトンデモ設定だと思う。
個人的には、原作の設定に準拠して第5期調査団の物語にすれば良かったと思う。というか何故そうしなかったのか?
勿論、観客と主人公が同じようにフレッシュな気持ちで異世界を冒険することによって、両者の間に一体感みたいなものは生まれるわけだから、全く意味の無い設定ではないと思う。
でもねー。うーん…😅
まぁとはいえ、異世界からの来訪者というのは原作でもけっこうある。
「FF」シリーズのモーグリやベヒーモス、「ウィッチャー」シリーズのゲラルトさんなんかもモンハン世界に迷い込んできているわけだから、全く原作無視な設定ではないんだよね。とフォローしてみる。
もう一点の賛否両論点。それは相棒であるトニー・ジャーとアルテミスの関係性だと思う。
お互いの言語が違うため、全く会話が成り立たないという中々にユニークな設定。
そのため、ランタイムの半分は一緒に行動しているこの2人だが、終盤までなんかギクシャクしている。
砂漠で助けられた時に露骨に機嫌悪くなるところとか、なんであんなに嫌〜な雰囲気にする必要があったのか謎すぎる。
ファースト・コンタクトの喧嘩シーンとか、あんな長々と見せる意味あったのか?しかも、まさか第2ラウンドが始まるとは思わなかった💦
トニー・ジャーのアクション見せ場という意味もあったのかもしれないが、それにしてはカットの切り替えが多すぎて何やってるのかよくわからんかったな…。
なんにせよ、もう少しお互いの交流というか友情育み描写はやっぱり必要だったと思う。
とはいえ、個人的にトニー・ジャー演じるハンターのキャラクターはけっこう好き。無邪気だけどなんかムカつくやつという絶妙にいそうな人物像。
水を飲みに行こうとするアルテミスを、小型魚竜種ガレオスでビックリさせる場面。
あそこのハンター・ジョークはけっこう好き。トニー・ジャーのムカつき笑顔が光る✨
はい。ここからはダメなところ👎☠️
まぁ何が一番ダメかって、モンスターハンターの世界観を再現出来ていないところでしょうね。
「モンスターハンター」の世界って、この映画のように殺伐とした殺し合いの世界じゃないんですよね。
勿論モンスターは討伐するんだけど、それも調査や生活のためだったりするわけで、悪者を殺すというお話しではない。
ハンターがやられても死ぬことはなく、可愛いアイルーが担架で運んで助けてくれる。
けっこう牧歌的な世界観なんです。
あの『エイリアン2』みたいなクモモンスターとのやりとりとか、マジでいらない。
終始命をかけたバトルをしているが、もっとコミカルな作風でも全然オッケーなんです。『バイオハザード』とは違うんやぞ。
もう一点。
「モンスターハンター」の世界を構成する大事な要素とは、モンスターの生態系をキチンと描くという点にあると思う。
本作にも登場するアプケロス。彼らが草食であるという描写はあった。
しかし、そこから先もちゃんと描かないと。
アプケロスはゲネポスなどの小型肉食モンスターの餌となり、ゲネポス達も大型モンスターの餌食となる。
大型モンスターもさらに強いモンスターの餌となり、強力なモンスター同士は縄張り争いを繰り広げる。
朝と夜とでは生息するモンスターや環境生物も変わる。
こういう拘りこそが「モンスターハンター」の世界なんじゃないの?
モンスターはただの怪獣じゃないんです。生物なんです。
もっと沢山のモンスターや環境生物を登場させて、彼らの生態系を描くことこそが、『モンスターハンター』を映画にする意味なのでは?
ハンター達の生活ぶりが伝わらないのも不満点。
原作には、ハンターたちが生活する拠点「アステラ」という村があり、そこで彼らの暮らしぶりがわかる。
どういうものを食べ、どういう仕事をして、どういう家に住んでいるのかが描かれる。
でもこの映画じゃ、ハンターが何をやっている人たちなのか、どんな背景があるのかさっぱりわからない。
意味ありげな登場人物たちもただのモブとしてしか機能していない。これじゃダメでしょう。
前述したモンスターの生態系やハンターの生活のディテールこそ、ハイ・ファンタジーを描く上で最も重要なポイント。
本当にこういう世界が存在しているんじゃないかと思わせてくれるほど細かいところを描き込まないと、ハイ・ファンタジーの世界は途端に嘘くさくなってしまい白けてしまう。
色々と書いたが、なんとな〜く鑑賞する分には十分楽しめるポップコーンムービー。
「モンスターハンター」ファンであればあるほど気になるところも出てくるかもしれない。
ただ、モンスターの迫力は間違いなく凄いので、むしろモンハンを知らない人の方が楽しめるかも。
映画館で鑑賞する価値は十分にあると思います☀️
「モンハン」といえばテーマソングの「英雄の証」!
これが映画中で流れなかったこと凄くがっかりしたんだけど、どうやら吹き替え版ではエンドロールで流れたっぽい?
それが本当ならやるじゃん!吹き替え版!
…私感を述べると、「豪華声優陣」とか言っている映画やアニメ、ゲームほどつまらない。
声優以外にプッシュするポイントがない、ということだから。
本作のホームページをみると松坂桃李がミラ・ジョヴォヴィッチと共演したかのようにみえる。
これはちょっと誤解を生むんじゃ…。
松坂桃李を客寄せパンダみたいに使うのはちょっと気ぃ悪いね。