「詰め込みすぎ、狙いすぎ注意な作品」HELLO WORLD キンシコウさんの映画レビュー(感想・評価)
詰め込みすぎ、狙いすぎ注意な作品
ネタバレ含んでいきなり内容をできるだけ短めに解説すると、
脳死してしまった主人公を救う為、ヒロインは“現実が記録されたデータ”の中から、主人公のバックップを探して復元するため、データ世界にアクセスし、主人公とヒロインの二人の想い出を主人公目線で辿りながらバックアップデータを作成して、現実の主人公を救うこと成功するお話。
この説明で理解できない人はこの映画は難しいかもしれない。
要は、「夢の中の夢の中から始まって、夢の中に出てきて、最後に夢から覚める」って話。
これをややこしくしているのは「夢の中」でなくて「パソコンの中のデータ」って設定だからです。だから専門用語やカタカナがやたら多くなるからそこを視聴者にうまく伝えられるかが、この映画の評価すべきポイントだと思うのですが・・・
アニメーションとしてテンポがいいのに、小説で描かれたような長い解説を詰め込んで聞かせられるので、それが気になっていまいち映画が頭に入ってこないんです。
だから感動させるところとかわかるし、力入れて作ってるのに、設定やらいろいろ考えてたら素直に感情移入も出来ないよ。
あと、設定とか結構作りこんでるだろう割に、“つじつまが合わないところが多い”。
とにかくそこが気になって余計よくわかんない終わりになってる。
ごめんね。SAO劇場版からこういう違和感があって、うすうす感じてるけど、監督の作風なのかな?
あと結末なんだけど…最後に月にする必要あった?
こういう最後にどんでん返しや意外な結末持ってくる作品って、本編に残した違和感というか布石がピッタリはまるから感動や感心、だまされた―って気持ちよくできるんだけど、最後に謎、というか意味不な結末残して終わりって・・・
最後に謎残すっていう作風が好きな人なら楽しめるかも。
さて、批判はここまでにして、そろそろ褒めちぎりたいと思います。
キャラデザは、さすが京都アニメーション!
堀口悠紀子さんいい画かくわぁ!しかも3Dなのにちゃんと堀口さんっぽさ残してるのCGスタッフさんすごい!最後のアニメ作画のとこもしっかり作ってるし、堀口悠紀子さんの絵好きだからそこはとっても楽しめました。
そして音楽!今人気の豪華アーティストたちを惜しげもなく使って採用楽曲はどれも好きだ!サントラほしい!!ちゃんと楽曲とアニメが合っていたのでより曲を楽しめました。
アニメに俳優を使うなっていう人も多いと思います。棒読みや下手な演技でせっかくの作品を台無しにされる経験をされた方も多いでしょう。しかしご安心を!
俳優たちは全く違和感なく作品のキャラクターになりきって演じてくれてます!どの演者さんも素晴らしい演技!俳優としてだけでなく、声優としてもこれからの活躍を期待したいです!
アニメーションは3Dとなると迫力や動きの違和感が出やすく、見慣れないために作品への入り込みがしにくくなるって思ってるんですが、今回はデータ世界を3Dで描くと徹底して作成されているので区分がわかりやすかったです。動きもよくできていましたし、何より背景の机の使い込み具合とか古本の汚れとかもしっかりと作りこんでいてよかったです。
個人的に主人公の家の使い込んだ作りこみが好きです。シールのはがした跡とかリアル!!
いろいろなんやかんや言いましたが、まぁまぁ楽しめる作品だと思います。
ただこの作品、わかりやすい作品が好きな人とかには「よくわかんない」とか「飽きた」「つまらない」って印象で終えられてしまいそう・・・。
個人的には評価2.5のとおり、「普通のオリジナルアニメ映画」って印象。
「最後なんだったの?」「ここなんだったの?」って話で盛り上がるにはいいかも?