何の情報もないまま、VODで見ました。存在は長らく知っていたのですが、アニメを見ることに抵抗がありました。しかし、いま、見るべくして見たんだと、自分自身の腑に落ちました。
最初に登場した主人公のカバンに書いてあった文字「THE ONE」。
これでこの物語が何を意図しているのかを直感しました。
少々ではなく、かなり難解かもしれません。
いま、現代、この瞬間の実際のことですが… 様々な舞台で覚醒した方が登場しています。
そこで語られているのが「THE ONE」または「ワンネス」という概念です。すべてはひとつなのです。人も動物も植物も、すべての物質も…
主人公の10年後のセンセイが「起こした」膨大な情報のコピー化。
自分の過去の出来事をなんとか修正、改ざんしたいとするそのエネルギーこそ「私の真の望み」ここでいう彼女の事故死を回避することだったのです。
これほど純粋なエネルギーは視聴者自身の過去を振り返っても頷けることでしょう。
そして高校生の主人公は「この世界全てが現実のコピー」だと告げられてもピンときません。
同じように、覚醒者たちも似たように言います。「現実とは、真に実在するものとは『感覚や感情』であって、物質ではない」と。
映画の制作者もこれを根本的事実としてこの映画の根幹に設定しています。
これを知らなければこの映画は難解で、破綻していると思えるでしょう。
映画としての面白さは、どんでん返しのどんでん返しがあることでしょう。
つまり、10年後の自分にとって必要なことを過去の自分にさせて、10年後の自分は確実に満足できる世界を構築しようとするのですが、破壊されそうになったコピー世界で、高校生の主人公は、そのリアルである自分自身の感覚と感情を完全に信じ切って行動するのです。
ここで見る側としては、ロジックの破綻を感じざるを得ません。
しかし映画は、コピー現実の主人公が現実世界だと疑わない世界と同じように、バグ、デジタル問題が発生します。
やがてシステムの発案者である10年後のセンセイは、バグは同じアカウント(同じ人間)が二人いるから起きるので、俺を殺せと言います。
結果的に自ら犠牲となること、そして本部でリセットをかけることで「現実」なるものが修復されます。
まずはコピー世界の二人は無事元の世界に戻ることができます。
ここで10年後の世界が新たに作られるということになるはずですが、実は、昏睡状態にあったのは10年後のセンセイであり、それを修復していたのが10年後の一行さん(彼女)だったという大どんでん返しです。
センセイが昏睡状態になった理由は明かされていませんが、落雷のとき彼女を守ることができなかったと思い込んでしまったことが原因で、目覚めることができなくなってしまったのかもしれません。
だから彼女は、その何故を突き止め、センセイの夢をコントロールするシステムを開発し続けていたのかもしれないと、想像します。
「グッドデザイン」を手にはめ、物質を具現化するというシーンがいたるところにありましたが、これもまた、この物質世界は自分自身の心を映し出しているだけだということを表現しています。これは真実ですが、アイテムを使って説明しているのです。
センセイの彼女に対する思いがあまりにも強いため、彼は過去の自分を鍛えるということをしましたが、彼が本当にしなければならなかったのが、「ちゃんとお別れをする」ということだったのかもしれません。思い込みと決めつけの世界(過去)を、センセイは夢の中または意識の中でずっと創り続けていたのでしょう(昏睡状態が続いてる根源)。
映画はもちろんアクションとしてリアルとして描かれていますが、実際人はこれらのことを自分の心(真実のリアル世界)の中で絶えずしているのです。
そして、過去や未来がどうあれ、「いまこの瞬間」私が変われば、未来も過去も変わるということこそ、この映画の制作者は言いたかったのではないかと思います。
この世界の真実をアニメという武器を使って最大限に描いていただいたことに感謝と敬意を表します。
素晴らしかった。