劇場公開日 2019年9月6日

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「面白かったけど、頭でっかち?」アス じょぉさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5面白かったけど、頭でっかち?

2019年9月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

役者さんたちの演技が巧みで引き込まれる。
カメラワークが、奇をてらうことなく、印象的なショットを交え捉えていく心地よさ。
自分そっくり、家族構成も同じな何かに襲われるというシチュエーションも恐ろしい。
じわじわ来といて、あとは、大バトルになる。
笑いが散りばめられていてさじ加減がいい。
ミステリー。
これが問題だ。
設定的には、良いとして、、、描写がイマイチ。(予算の都合かな・・・)
どうもこの映画、テーマとして、アメリカの格差社会に焦点を当てているようだが、、、全くピンとこない。
USは、私たちであり、ユーエス(アメリカ)も引っ掛けている。
テーマをストレートに描くと社会派ドラマにしかならないが、それをあえてミステリーホラーにしてみました!ということのようだ。
しかし、ミステリーと一致しない。
問題定義どころか、この物語だとむしろ高みの見物状態に見えてしまう。
そして下層の者たちを見下してるようにも見えてしまう。
でもテーマが全くピンとこないため、鑑賞の印象はそんなこともなく、ハラハラドキドキの連続で楽しませてくれた。
ちょっと頭でっかちに感じる。
言いたいテーマはインタビューなどでフォローしてるようだけど、それを含めて作品として成立させたいようで、イマイチ本編だけでは機能していないモヤモヤが残る。
テーマである格差社会、資本主義の闇を持ってくる意義は大いにあるが、この作品にそれは感じなかった。
例えばゾンビ物は、ざっくりいうと得体の知れないウイルスなどで人類が滅びてしまうことがあるかもという恐怖をエンタメにしたものと観れるから、この作品もそう観てあげればいいかも・・・。
と書いていたらブラックホーク・ダウンを思い出した。
限られた人数の米兵に対峙するソマリアの民兵の大群。
アメリカ兵から見たらわらわら出てくるゾンビのように見えただろうからそういう風に見せてる。
この映画の、あの者たちは、、、それじゃああまりにも酷い見せ方。。。
モヤモヤ感をずらずら書いたが、こういうエンタメの中に強い作家性がある作品が作られること自体はよろばしい。
監督が怖いと思ったものを「ほらこれって本当は怖いよね」と見せまくる。(監督はウサギが無表情で怖いらしい)
前作のゲット・アウトも面白かったので、また次も見たい監督でる。

じょぉ