劇場公開日 2019年9月6日

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「作家性を存分に発揮したホラー」アス andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0作家性を存分に発揮したホラー

2019年9月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い、というより謎い。
ジョーダン・ピールがただ怖いホラー作家でないことは「ゲット・アウト」で明示されている。この「アス」でもその作家性は存分に発揮されるが、中々複雑である。
別荘にやってきた一家が自身のドッペルゲンガー(影)に襲われる訳だが、既にこの影がメタファーであり、そしてその上人為的なものである。ということ。そして登場する二家族の描かれ方の違いが「格差」を明確に表している。
もちろんホラーエンタメとして普通に観る分にも非常に秀逸で、お父さんがあの状況でもボケをかますところとか、それに対する子どもたちの反応がくすりとさせる。ルピタ・ニョンゴが終始張り詰めた表情なので癒しだ。
ラストまでの展開もなんというか、ミステリーっぽいけどそのマンネリを上手く打破し驚愕のラストまで持っていっている。そうだったのか、そうきたのか...!という。
なぜ主人公一家だけじわじわ追い詰められるのかが消化できていないのだが、彼女らの「根源的」要素を考えると納得もしたり。
ルピタ・ニョンゴ凄いと思いましたが、もっと壮絶だったのはジェイソン役(この名付け...!)の少年。彼の表情凄かったな...。演者の皆さんの「影」の振る舞いも秀逸過ぎて...。
怖さとエンタメと作家性を全てきちんと盛り込んでも全くブレないジョーダン・ピール、恐るべし。

andhyphen