「三部作の終わりとして大満足」ヒックとドラゴン 聖地への冒険 ふるやんさんの映画レビュー(感想・評価)
三部作の終わりとして大満足
アクションシーンや映像の美しさもとても良かったのですが、何より三部作の完結編として相応しいストーリーが良かったです。
ヒックとトゥース、人間とドラゴンが一緒にいることで争いが起きることは避けられない。
そして犠牲になるのはいつもドラゴン達。
バーク島の人間だけでは物理的に全てのドラゴンを助けられない、人間の中にはどうしたってドラゴンに対する憎しみを抱く人や悪用する人がいる。
人間とドラゴンとの共存をするには、まだたくさんの壁がある。
そのことを厳しい現実として描かれていたのがとても良かったです。
今作の悪役であるグリメルはドラゴンと共に暮らすことはできるかもしれないが、争いの種を生むことには変わりないことを理解していたからこそ、元凶であるドラゴンを根絶やしにしたかったのかもしれません。
さらにグリメルは過去にナイトフューリーを殺したことで英雄になったことがあります。
その時にナイトフューリーを一体殺すだけでどれだけ人々が喜び、安心して暮らせるか実感したのかもしれない。
ナイトフューリーはドラゴンの王になれる程の力を持っているため、生かしておくだけで脅威になる。
だからナイトフューリー殺しに力を入れていた、人々の平穏を守るために。
もしかすると一作目でヒックがトゥースを逃さずに殺していたら、グリメルと似た様な結末に辿り着いていたかもしれない。
グリメルは細身で、戦闘よりも発明家タイプとヒックとの共通点も多いです。
グリメルはかつてヒックが憧れていた姿を体現している存在なのです。
今作ではトゥースのドラゴンの世界で生きる道が開かれると同時に、互いの幸福を尊重し、いつの日かまた一緒に生きていくことを願いながら人間とドラゴンは別れを告げます。
ドラゴンは世界から姿を消し、お伽話の存在になったころ、ヒックがトゥース達に会いに行く。
ヒックは長として村を守り、トゥースはドラゴンの王として聖地への入り口を見張り、別々に生きてきた。
けれど何年経っても二人の絆は絶えず、互いの子供達が仲良く触れ合っている。
まだ共存できないかもしれない、けれどそんな未来は遠くない、そう予期させる結末でした。
もっと多くの人に広まってほしい作品です!