「仏の才女メラニー・ロランが米犯罪映画の定型から抽出した妙味」ガルヴェストン AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
仏の才女メラニー・ロランが米犯罪映画の定型から抽出した妙味
第二次大戦中に製作された米犯罪映画を「フィルム・ノワール」とカテゴライズしたのは仏映画業界の人だった。フランス人は米映画への独特な批評眼を持つのか――メラニー・ロランが監督として米脚本家・作家ニック・ピゾラットの原作を映画化した本作を観て、そんなことを思う。
非情な裏社会、乾いた暴力、絶望的な逃避行、破滅の予感…。アメリカンニューシネマを経た米犯罪映画の定型をなぞる話だが、人物描写、ビーチの場面での印象的な映像、余韻を残すラストなど、フランス人でしかも女性の監督であるロランが、敢えて起用した製作者たちの期待に応え特別な味を引き出した。ピゾラットの脚本がロランによる大幅な改稿のため偽名の名義になったが、彼女が自分を貫く姿勢も格好良い。
エル・ファニングとベン・フォスターもかつてないほど役作りに集中できたのでは。2人の演技をいつまでも見ていたいと思わせる…それが叶わないとわかっていても。
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