劇場公開日 2019年10月4日

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「特殊能力無アクションの新たな可能性」ジョン・ウィック パラベラム オレさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5特殊能力無アクションの新たな可能性

2021年4月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

コンチネンタルホテルの掟を破ったことで全世界の殺し屋から命を狙われる身に陥ったジョンウィック。
絶え間なく襲いかかる暗殺者を躱しつつ、かつて血の誓印を交わしたソフィアを頼りにカサブランカへと飛ぶジョンウィックを描いたシリーズ第3作目。

冒頭血だらけでニューヨークの街中を愛犬と共に駆けるジョンウィックの姿により前作のラストから数時間ほどしか経過していないこと察せられる、のっけから相変わらずの異常なスピード感で幕開けた今作。
前作から懸賞金も襲いかかる暗殺者も2倍超、逃走の手助けをしてくれたコンチネンタル支配人のウィンストンや地下犯罪組織の王バワリーキングにすら危険が迫るなど八方塞がりの状況下で前作を凌駕する緊迫感に包まれた続編となっている。
その中で2人の新たな登場人物がシリーズに新たな展開と要素を与えていた。

まずはコンチネンタルホテルモロッコの支配人かつジョンと血の誓印を交わしていることでジョンの訪問を受けたソフィア。
演じるは名優ハルベリー。
短い出演時間ながらも深い悲しみと強い意志を纏った暗殺者を熱演。
過去のいざこざの詳細に触れないのはもはや当然のジョンウィック節笑。
まだまだ面白くなりそうなキャラクターのため続編以降の登場にも期待したい。

そしてアジア系の暗殺者のゼロとその弟子たちが今までシリアス一辺倒だったシリーズにコミカルな風を呼び込む存在感を放っていた。

にんじゃりばんばんが爆音で流れる寿司屋を営む破茶滅茶な登場から一転、忍のような身のこなしでジョンに襲いかかる腕利きの暗殺者ながらターゲットであるジョンに純粋に憧れていると無邪気に話しかけるなど茶目っ気な面も覗かせ、1作限りの敵役にはもったいない存在で正直和解してジョン側についてもらいたいくらいの存在だった笑。

終盤のガラスの部屋での戦闘にて弟子も含めジョンへの敬意を忘れない振る舞いをとったり、ゼロが背後へ回る足技を見せたと思ったらジョンもできるという背後の取り合いが突然始まる件が面白かった笑。
あと執拗に割られるガラスケース笑。
ド派手に壊すところが見え見えなのに、終盤につれ壊すのを焦らされる謎の演出が妙にツボだった笑。

また本シリーズは一貫して特殊能力の無いとにかく強いジョンウィックを描いており、画一的なアクションに収まりがちになるかと思っていたが、本もヘルメットもベルトも馬も全て武器として利用し、長回しのシームレスなアクションで流れるような展開に飽きを来させない演出で近年乱立している特殊能力系アクション映画と一線を画すアクション映画としてのポジションを今作で確立したのではないかと感じた。

正直3部作で終了かと思っていたがまさかの5まで作ると宣言した上に早くも続きが気になるラストですっかりハマってしまった笑。
いよいよのマトリックス師弟コンビの大暴れに期待したい。

オレ