「ワトソンを火事場泥棒する映画」屍人荘の殺人 43さんの映画レビュー(感想・評価)
ワトソンを火事場泥棒する映画
賛否両論、どっちかというと否が7割くらい。浜辺美波がすごい褒められている。ミステリの皮を被ったゾンビ物。……という前情報を持ち、原作未読の状態で見ました。
冒頭から劣化版TRICKみたいな雰囲気で始まり、概ねそんな感じという印象でした。TRICK好きなので、別に否の部分そんなにないけどなあと思いつつ見始めました。怨恨部分が胸糞なんだろうなあという空気、死亡フラグの乱立、そして胸糞どんとこいのTRICKチームなので、例の二人がちゃんと退場してくれるか心配でしたが、ちゃんと死んでくれて良かった。
すごい褒められていた(というかそこだけ褒められていた)浜辺さんは確かに可愛いなあと思いましたが、自分は「大概の女優さんの顔みんな同じに見える症候群」なので、あと1時間もすれば覚えていない顔だと思います。仲間由紀恵くらいまでいくとようやく覚えられます。石原さとみはシンゴジラ見てようやく覚えられました。そんな体たらくなので、むしろ顔より服の方が覚えているくらいです。どうしても山田と比べてしまって山田が恋しくなる一方でした。こればっかりはTRICKが名作過ぎるのがいかんのじゃ……あと2日前にTRICKのスペシャルシリーズを一気見したのがいかんのじゃ……
ゾンビ物であることは伏せられていたそうですが、別に伏せなくても良かったと思います。良かったですが、……解決せんのか!? そのゾンビパニック解決してへんやないか!? 明智さんのこのこ出てくるんか!? 自衛隊がそんなぬるい仕事するわけなかろうが!! ……えっ、明智さん死ぬんか!? という点で一気に否7割に納得がいきました。続けるつもりなら明智さんは死なせてはいけないし、続けないならゾンビの種明かしをあれで終わらせてはいけない。そこができていたら、あったかもしれない続編も見に行っていたことでしょう。
ラスト以外はまあまあ楽しかったので、見る価値がなかったとは言いませんが……これって浜辺美波のために作られた映画だったのかな? 視聴者はそれに付き合わされたのかな? 話が違うぜ? という気持ちになったのは、予告編とのギャップもあるのですが、自分の場合は冒頭で「ホームズとワトソン」を持ち出したからだと思いました。やっぱりワトソンはホームズのものだと思うので。「ホームズからワトソンを奪い取る」というテーマがあるのならば、もう少しそこに注力して、もっと早い段階で、何なら初対面で浜辺美波には「ワトソンくれよ」とホームズに言っといてほしかったと思います。そしてそれが叶った最後のシーンとあの台詞にも、もう少し尺を割いてほしかったと思います。
ぽっと出の「無名の名探偵」がワトソンを火事場泥棒したように見えるが? という点がえらく引っ掛かったところでした。やっぱりワトソンはホームズのものであると思うので。