「努力の痕跡はある」屍人荘の殺人 yume comachiさんの映画レビュー(感想・評価)
努力の痕跡はある
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ゾンビと言う不確定要素を用いることにより、推理する側には不確定要素の考慮を強いながら、犯行を行う側は如何に確実に反抗を成し遂げるかと言う試みは純粋に面白かった。
実際、犯人側の視点としては、行き当たりばったりにしてはかなり良く仕組むことが出来ていてトリック自体も難しい訳ではないものの、多少の意表を突いたり、その場その場で機転を利かせた感じが高評価。
しかし、その他の部分は微妙。
探偵役の推理にはいくつかの抜け穴があったものの、そこを補完しない上、推理パートの紆余曲折が全く見られなかった。
こういうトリックがあるから、こう解かせよう、という頭の中で完成している図面をそのまま書き起こしてるような、一本道の推理。
個人的な感想としては、犯人を最終的に一人確定させるまでの証拠や照明が弱く感じた。言ってしまえば、状況証拠と憶測で犯人を当てているため、言い逃れようと思えば多分どうとでもなるのではないかと思った。
今回の事件で犯人を当てられたのは探偵役の功績6割、犯人側の助力4割と言っても過言ではないと思う。
また、ゾンビを使って推理物を書きたかったのは伝わってきたものの、ゾンビをただの道具程度にしか考えていないため、パンデミックホラー×ミステリーだと思って最後まで見てた私は、エンディングでやっとただのミステリーということに気づく羽目になった。
ストーリーに大きく関わるゾンビの存在がかなり雑に扱われている点、探偵側の推理パートが面白くない点、探偵側の推理に抜け穴があると感じてしまう点がマイナス評価。
細かな所に気を配り、大きな所に目がいっていないような映画だった。
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