新聞記者のレビュー・感想・評価
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終盤に向かっての盛り上がりがピークになった時に
映画の力を感じる素晴らしい作品
普通の一般人はメディアを通して知る情報が全てだし、情報が全て正しいわけじゃないことも理解しています。それでも、国が、テレビが、大手メディアが、大勢が発した言葉を7割型信用して受け止めてしまう。というか、情報の信憑性を都度確認する程、興味が無い。
そんな日々なんとなく暮らしている私に、この作品がガツンと「もしかしてこうかもしれないこと」を提示してくれました。本当のことなんて分からないからこそ、一つの可能性を知っておくことが必要なのかもしれないなと感じました。
家族がいるから信念のまま行動することに葛藤する杉原、守るものがないから信念のままガムシャラに正義を叫びたがる吉岡、家族がいても自ら死を選んでしまった神崎。この3人が選択する行動は理解できるけど、理解できない。流れに身を任せてしまえばラクなのにとも思う。それくらい、苦しそうでした。
この作品は答えを出して終わるわけじゃないし、メディア・官僚、そして国のどれが正しいとか悪いと言ってるわけじゃない。一見すると情報コントロールする国が悪者にも思えるけど、国の平穏を保つ事が目的だし、現に当事者以外は平和に暮らせてるんだから、悪いとも言い切れない。
だからこそ、ズシンと来ます。
観て良かった。日本でもこういった作品が制作されて、公開されることが嬉しいです。
胡散臭い日本が見れる
新聞はとっていません(ゴメンなさい)
骨太な作品
松坂桃李さんの演技力で人間ドラマとしても…
政治に詳しくないし、ちょっと難しいのかなと思っていたけど、目が離せなく集中してあっという間でした。
松坂桃李さんが心の葛藤、心の揺れを見事に演じられて、というか主人公の杉原にしか見えませんでした。後半の目と表情の変化とラストの顔には鳥肌がたちました。本当に凄い!感情移入して涙が溢れました。政治サスペンスですが、松坂さんの演技力で人間ドラマとしても観られます。
あと、田中哲司さんが演じる多田が、台詞も表情も本当に恐いです。
まだ記憶に残っている事件が出てきて、初日に観たときは大丈夫?と心配しましたが、たくさんの方が観て、上映館が多くない中ランキングにも入っていたので安心しました。
確かめたいことがたくさんあるので、また観に行きます。今、この時期に絶対観てほしい作品です。
フィクションです
原作未読です。昔TVドラマでやっていた「ジュニア・愛の関係」を思い出しました。政治と宗教の話はネットで書いてはいけないと教えてくれた人がいたので感想は半分くらい。
ニュースにならない事故で消される人がいるだろうなと改めて思いました。実際にモデルの話があるのでしょうか。ゼネコンと政治家の癒着、さらに軍事って儲かりますよね。雇用を生むでなく戦争を生む。富裕層が自分の手を汚さない(汚れている)で儲けるのは世界だけでなく日本もそうでしょう。官僚は本当に国民の幸せを考えている人は少ないのでは。話がそれました。シムウギョンさんうまいですね。日本語もうまいけどちょっと違う所はアメリカ帰りっぽくて違和感ないです。松坂桃李さん口の中でモゴモゴ言う演技は他の役とかぶってますが、うまいな~と思いました。役には「おまえも同じか!」って思いましたが。
見ていて愉快ではないのでそれを承知なら見て損はないと思います。☆3.9です。
自由に意見が言えるということは‥
いい映画。迫力満点
この時代に製作したことに拍手
松坂桃李が出演する映画は去年は3本観た。今年は本作品で2本めだ。俳優として驚くような演技や所謂怪演と呼ばれるような演技をするタイプではないが、役をよく消化したリアルな演技をする。線の細さというか存在の薄さがこの人の持ち味である。本作品のエリート官僚の役はまさにこの人にぴったりであった。
参院選の前にこの映画がよく公開できたと思う。誰が観ても安倍政権の不祥事を取り上げていることは明らかで、内閣情報調査室を主体とする内閣府が暗躍して政府の悪事を隠しているという内容だからである。サイドシーンとも言うべきインターネットの対談で、前文科省事務次官の前川喜平さんが現政権の内実を赤裸々に語り、東京新聞記者の望月衣塑子さんがマスコミとジャーナリストの役割について述べている。ふたりとも安倍政権とは対立的な立場にある。
物語は主人公である女性新聞記者の行動と見方を中心に、カウンターパートとしての内調官僚の松坂桃李が先輩の死を受けてどのように行動するのかを描く。シム・ウンギョンの演じた吉岡エリカは追いかけている内閣官房の関わった不正事件の記事を書こうとするが、国家権力の圧力は勤務先の東都新聞にも襲いかかってくる。松坂桃李が演じた杉原の、官僚としての本来の役割と現実とのギャップに悩み、家族と生活を守ることと不正に手を染めることの軋轢に悩む役は、仕事と割り切って唯々諾々と作業に勤しむ官僚たちの中で浮いている。どうやら日本では人間らしさと官僚らしさは両立しないらしい。
主人公も杉原も、どちらの立場も問われるのは勇気である。
世の中に自分の考えを主張するには何らかの代償が生じる可能性を常に覚悟しなければならない。社内の不正を告発すれば馘になるかもしれないし、いじめを明らかにすれば次は自分がいじめられるかもしれない。だから多くの人は口を噤む。そしてストレスを溜め込む。中には弱い人、或いは弱い立場の人を相手に毒づく人間もいる。そして誰がいつそんな人間に成り下がらないとも限らない。もちろん自分も例外ではない。
しかし新聞記者は主張することが仕事である。客観的な事実だけを書いているように見える記事でも、見方によって事実は異なるから、行間には記者の主張が現れる。「客観的な事実」などというものは実は幻想に過ぎないのだ。新聞記者はそれを肝に銘じて文章を書く。文章には書いた人の世界観や人間性が反映されるから、記事は一定の主張を持ち、そして一定の社会的影響力を持つ。マスコミが第4の権力と言われる所以である。
反体制的な記者が記事を書けば、どうしても反体制的な文章になり現政権を批判する内容になる。民主的な政権は多様性に対して寛容だから批判も受け入れるが、独裁的な政権は反体制的な人々を排除しようとする。そのやり方は巧妙で狡猾だ。情報をどのように操作すれば世論がどっちに動くかを分かっている。新聞記者の社会的な信用を失墜させることなど朝飯前だ。新聞記者はそんな権力に対して、ペン1本で対抗しなければならない。言葉が封じられない限りはどこまでも伝えていく。殺されてもいいという覚悟は既にできている。
しかし日本のジャーナリストは本当にその覚悟が出来ているのだろうか。国境なき記者団によるWorld Press Freedom Index(世界報道自由度ランキング)によれば日本の報道の自由度は世界で67位である。特定秘密保護法をはじめとする政権によるマスコミの抑圧や情報規制は徐々に顕著になってきており、ランキングはもっと下がっていくだろう。それでもいまはまだ言いたいことが言える世の中である。にもかかわらず新聞社やジャーナリストが自主規制を始めたら、そのときは言論の自由はおしまいである。そして日本の言論の自由はおしまいになりつつあると思う。
内閣情報調査室長を演じた田中哲司の演技にはリアリティがあった。この人は同じ藤井道人監督の「デイアンドナイト」では大企業側の悪役を演じていて、巨大な力の窓口としての人間がどのような精神状態であるのかをうまく表現していたが、本作では権力の走狗としての歪んだ人間性を好演。こういった役が似合うのだろう。
主人公の日韓ハーフの帰国子女を演じたシム・ウンギョンはそれなりに頑張っていたが、やや表情に乏しい。本田翼の演技力は松坂桃李の妻役がせいぜいだが、日本には黒木華や安藤サクラ、貫地谷しほり、池脇千鶴など、演技力に長けた女優がたくさんいる。新聞記者としての情熱と覚悟に加えて女性ならではの優しさを表現できる女優が主人公を演じたら、もうワンランク上の作品になった気がする。
とはいえこの時期にこの作品を製作したことにはあらためて拍手を送りたい。いまや言論の自由を守るのはジャーナリストではなく映画人なのかもしれない。藤井道人監督は前作「デイアンドナイト」に引き続いてスケールの大きな作品を作り得たと思う。見事である。
バランスが気持ち悪い
日本では珍しい、現実をリンクさせて実際の事件・疑惑を想起させるタイプの映画(欧米には多いけれど)。
今の政府(内閣や官僚)の悪質さ、横暴なやり口は、見事に表現していた。
新聞記者の在り方を客観的な視点で描いていて、変な英雄扱いをしていなくてよかった。
シム・ウンジョンと松坂桃李の演技は見事。
けれども、エンタメに徹し、こんな場合はこんな行動や考え方でいたらいい、というシミュレーション的な要素で突っ切らなかった。
特に、下手に前川喜平氏と、本作の「原案」者とはいえ東京新聞の望月氏を画面に登場させちゃったことで、そっち寄りに【偏っている】【誘導している】ってイメージになっちゃってたのが残念。
また、内閣情報調査室の在り方が想像による表現なので、リアリティが今ひとつ。
いや、観てるこっちも実態は知らないから、リアリティってなんなのよってこともあるんだけど。
ファンタジーになっちゃっているんですよね。
そのせいで、「現実」と「主観」の境界線があいまいで、ドキュメンタリーでもない、エンタメでもない、バランスが崩れてある種の気持ち悪さを生んでいたように感じました。
『空母いぶき』でも感じたけれど、物語を成立させるために、現実への取材不足を妄想で埋めると、リアリティラインが曖昧になるんですよね。
アメリカのように、情報公開されてない国の限界かもしれません。
特に若い人に観てもらいたい。
いろいろ言いたいことはあるものの…
この映画が有名俳優を起用して作られてそこそこの規模で劇場公開されたということ、その意義をまず認めたい。小さいスクリーンではあったものの週末の回は座席がほとんど埋まってた。映画としては、終盤のお話展開のロジックがちょっと弱いとか、官庁のシーン薄暗すぎ電気点けろwとか、権力批判映画であるとはいえ政権を悪の中枢の如く描き過ぎているのでもうちょいフラットに描いた方が万人に観てもらえるのでは、とか細かい気になる点は沢山ある。モリカケ的云々とか取り扱うネタが中途半端にリアルなのがノイズになってる気もする。主演女優が日本人ではないのは逃げというかやれる人がいなかったのかなと始めは思ったけど、日本人記者ではそこまで踏み込めないだろうというストーリー上の必要性(と皮肉?)も含まれていたので納得した。ラストシーンはあのバランスで良かったというか、それ以外にどういうオチがあろうかと思った。
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